ボディは、頭頂部にある三角形の意匠を中心にして、左右のバランスが取れた端正なスタイルだ。がっしりとした剛性が感じられ、高品位な雰囲気も漂っている。外装はマグネシウム合金製。ダイヤル類はローレットやダイヤカットを施した削り出しとなる。
外見上の見どころは、OM-Dシリーズでは初めてバリアングル式の液晶モニターを採用したこと。これまでのチルト可動式とは異なり、上下方向に加えて左右方向にも可動するので、カメラの縦位置/横位置を問わずハイポジションやローポジションでの撮影がしやすくなった。
特に縦位置撮影を多用する人にはうれしい改良といえる。ただしバリアングル式は、液晶の中心軸がレンズの光軸からずれることや、可動する際に左右に開く手間がかかるといった弱点もある。好みが分かれるかもしれない。
前モデルE-M5と比べた場合、ボディのサイズ感はあまり変わらないが、ボタンやダイヤル類のレイアウトは一新されている。特に大きいのは、電源スイッチと再生ボタンの位置が移動したことと、背面にファンクションレバーを新設したこと。さらに、モードダイヤルにはロック機構が備わり、カスタマイズ可能なファンクションボタンは数が増えている。
前モデルのユーザーにとっては最初は戸惑うかもしれないが、慣れれば各種機能へのアクセスがスムーズに行える操作インタフェースといっていい。前モデルのソフトすぎるボタンの感触が改善されたこともありがたい。
ストロボはボディには内蔵せず、小型の外付けストロボ「FL-LM3」が標準付属する。前モデルの付属ストロボとは異なり、発光部が上下左右に動くバウンス対応のストロボである。これも便利だ。
撮像素子には4/3型有効1605万画素のLiveMosセンサーを、画像処理エンジンには「TruePic VII」をそれぞれ搭載する。実写では、クリアで癖のない発色と、シャープな細部再現性を確認できた。高感度ノイズは前モデルより低減され、ノイズリダクションによる解像感の低下も抑えられている。
個人的に最も気に入ったのは、シャッターボタンを押した際のレスポンスのよさだ。シャッター音は小さくて短く、レリーズ直後のシャッターチャージは素早い。そのうえシャッターショックが小さく抑えられているので、1回1回のシャッターがとても心地よく感じる。
さらに、電子先幕シャッターが作動する低振動撮影モードや、先幕と後幕の両方が電子シャッターになる静音撮影モードを利用して、撮影時の音と振動をいっそう抑えることも可能だ。
フィルムカメラを思わせるレトロなデザインについては好みが分かれるところ。なおボディのカラーバリエーションは、今回試用したシルバーモデルのほかに、ほぼ全面を黒で統一したブラックモデルが用意される。色だけでなく表面の質感にも差があり、全体の雰囲気が異なるので、購入の際は店頭で見比べることをおすすめする。
OM-D E-M5 Mark IIは、同社の最新技術が詰め込まれた非常に多機能なカメラだ。使いこなし甲斐のあるカメラともいえる。初めてのOM-Dユーザーにとっては、すべての機能を使いこなすには少し時間がかかるかもしれないが、写真撮影を趣味にしている人なら、個々の機能や設定を覚えていくこと自体も楽しめるはずだ。
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