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日本アイ・ビー・エム:徹底して「オープン」を打ち出すIBM (2/2)

ZDNet しかし、IT投資は冷え込んでいる印象があります。そうした施策が起爆剤になり得ますか?

堀田 日本のIT投資が停滞気味なのは、日本経済の構造が変わっていく中で、さまざまな業界で企業統合や事業統合が進んでおり、それが落ち着いていないからだとみています。見通しがつけば、再び走り出していくと期待しています。

「ハードウェアでは競合しても、ミドルウェアであれば、その価値を認めて手を組める」と堀田氏

 また、価格競争がIT分野では激しく、ハードウェアやミドルウェア単体では厳しくなっています。やはり、どのようにして新しいソリューションをつくるのかが浮沈のカギとなってくるでしょう。

 マイクロソフトが、.NETの宣伝に投資をしたり、Notes/Dominoに的を絞ったキャンペーンを実施し、自らの製品の優れている点をアピールするのはいいことです。それは業界全体のためにもいいこと。そうした中で、コラボレーション分野にスポットライトが当てられるからです。

 しかし、コンセプトや製品の競合にとどまるのではなく、具体的なソリューションにまで昇華させていかないと、顧客に興味を抱いてもらうことはできません。

 12月にモデリングツールのリーダーであるラショナルソフトウェアを買収しましたが、こうしたツールによって開発生産性を高めていくということも必要になってくるでしょう。

ZDNet 半年間でWebSphere、DB2、Notes/Domino、Tivoliという4ブランドすべてで新製品を投入しましたが、2003年はどのような施策を打ち出されていきますか。

堀田 オープンソサイエティをもっと活性化し、業界挙げて共通の課題に取り組んでいることを訴えていきたいと思っています。Linuxもそうですし、Webサービスもそうです。環境に配慮している企業の測定基準はあるのですが、そういったものが「オープン」にもあるべきです。

 マイクロソフトも含め、オープンという同じ土俵の上で、「競奏」「競騒」、あるいは「競早」と、いろんな造語が考えられるのですが、互いに競い合いながら、ITの需要を喚起できたらいいと思います。

 渋谷のソフトウェア・コンピテンス・センターには、さまざまなベンダーやパートナーがやってきます。その都度、顧客に応じたソリューションのために、互いの価値観を認めて手を組むことができるのが理想です。そのためにも、オープンへの貢献度が明確になっている必要があります。

 e-Japan構想を前進させるためにも、オープンは不可欠です。ITベンダー同士が標準やオープンについて語り、マイクロソフトやオラクルも含め、顧客のソリューションやシステムの安定稼動のためにチームを組む必要がある。そういう場をつくるために発言していきたいと考えています。

2003年、今年のお正月は?
横浜・鶴見の自宅で家庭菜園を楽しむ堀田常務。「将来は温暖な土地でミカンをつくりたい」と話す。この時期に一番おいしいのはルッコラで、食卓にもよく並ぶという。年末の30日には、奥さんや娘さんらとゴルフを楽しむ予定。「実は彼女たちとゴルフするのは初めてなんだ」と笑う。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]


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