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IBMの新しい戦略「e-ビジネス・オンデマンド」は、同社だけでは支えられない。重要な役割を担うのが、さまざまなハードウェアやOSの違いを吸収し、アプリケーションのための共通の基盤となるミドルウェアだ。IBMはこの分野で徹底して「オープン」を打ち出していく。

ソリューションやサービスへと巨大な船の舵を切るIBMにとって、オープンなミドルウェア製品群の果たす役割は大きい。他社に先駆けて「e-ビジネス」戦略を掲げ、2002年秋には「e-ビジネス・オンデマンド」へとの昇華させたが、それをIBMだけで支えるのは現実的ではないからだ。12月には、マルチベンダー環境でアプリケーションの動作検証できる「ソフトウェア・コンピテンス・センター」を東京・渋谷に開設している。日本アイ・ビー・エムでソフトウェア事業部長を務める堀田一芙常務に話を聞いた。

ZDNet 7月にソフトウェア事業部長に就任されてから、さまざまな製品や施策の発表がありました。改めて2002年を振り返っていただけますか。

堀田 2002年は他社との協業やパートナーとの関係がますます重要になった年でした。IBMも10月、「e-ビジネス・オンデマンド」という新しい戦略を打ち出しました。CEOのパルミサーノによれば、「最前線で起きる微妙な動きを捉え、それに対して自動的に反応できるようなビジネスを支援する」ということですが、それを支えるレスポンシブなITデザインを1社で行うというのは不可能です。トラブルが発生しても自己回復するシステムを複数のパートナーと構築していかなければなりません。

 IBMだけでシステムを構築されている顧客ももちろんありがたいのですが、われわれはマルチベンダーとのパートナーシップを構築し、チャレンジしていきたいと思っています。

 その際、重要な役割を担うのが、さまざまなハードウェアやOSの違いを吸収し、アプリケーションのための共通の基盤となるミドルウェアです。

ZDNet 12月にパートナー支援の拠点を東京・渋谷に開設しましたね。狙いは何ですか?

堀田 e-ビジネス・オンデマンドのような世界をつくりあげるためには、ミドルウェアが各社のハードウェア上で稼動することが不可欠となってきます。現在、東芝やヒューレット・パッカードとはWebSphereのコンピテンシーセンターを開設していますが、そうした施設の中核となるべきセンターをつくりたいと考えました。それが渋谷の「ソフトウェア・コンピテンス・センター」(Software Center of Competency:SWCOC)です。

 検証施設には、サン・マイクロシステムズ、ヒューレット・パッカード、富士通、NECの主力サーバ機をそろえ、ストレージもEMC、日立、富士通、NECの製品を用意しました。彼らとは、ハードウェアやサービスでは競合していますが、ミドルウェアではパートナーです。

 検証といっても、単に動くというだけでは不十分で、パフォーマンスも最適化していかなければなりません。そのためには、システムインテグレーターやISVらに対する技術支援が不可欠です。ソフトウェア・コンピテンス・センターは、情報発信の拠点としても機能し、IBM社内の技術者と同じ情報を共有してもらえるよう、パートナー向けのポータルを構築していきます。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]


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