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サン・マイクロシステムズ:ネット社会到来を信じて先頭を走り続けるサン (2/2)

ZDNet N1でもオープンさは維持されるのでしょうか。

菅原 インタフェースは公開されていきます。われわれは、顧客に選択肢をもたらすべく、常にオープンな標準を推進してきました。ベンダーからベンダー、製品から製品への移行が容易なため、メーカーにとっては辛いのですが、サンは敢えて、この道を選んでいます。

ZDNet オープンといえば、Linuxの勢いが増してきていますね。

菅原 サンでは、パートナーらのアプリケーションとサンのプラットフォームを組み合わせ、ソリューションとして認定したうえで、一緒に販売していくことに力を入れています。セキュアかつオープンであれば、プラットフォームが何であるのかを顧客が問わなくなってきました。LinuxもルーツはUNIXであり、われわれもプラットフォームのひとつとして製品発表しています。

「ネットワークを生かし、取捨選択のスピードを高めることが重要」と菅原氏

 GNOMEのチューンアップにはわれわれも大きく貢献しており、また、StarOffice(日本名:StarSuite)もオープンソース化しています。SolarisもLinuxとの互換性を高めていくので、エンドユーザーからは、その差が見えなくなってきます。Linuxだから、Windowsだから、といって選ぶ時代は終わりました。セキュアであり、オープンであれば、ベストなものが選ばれることになります。

 しかし、Solarisは1995年に64ビット化して以来、7年もの実績があります。リライアビリティとスケーラビリティに優れ、依然として大規模なサーバはSolarisが選ばれていくでしょう。

ZDNet ヒューレット・パッカードをはじめ、業界の多くのプレーヤーがインテルのItaniumに移行しようとしています。

菅原 Itaniumが浸透するには、まだ4〜5年かかるはずです。われわれは長年に渡り、SPARCプロセッサとSolarisという単一のアーキテクチャによって互換性を維持してきました。インテルでは、XeonからItaniumに切り替わっただけで、アプリケーションの書き換えが必要になっています。仮に1つのシステムをつくるのは難しくないとしても、何万本もあるソリューションを検証していくのは、莫大な投資が必要になります。それなしに互換性を保証することはできません。

 世の中がインテルだけになっては面白くありません。肝心なのは、オープン標準をベースとしたベストなプラットフォーム、ベストなソリューションを顧客が選択できることです。われわれもその1つのベンダーとして選ばれるべく投資を続けていきます。

ZDNet ハイテクの未来に展望はあると思いますが、日本や日本の企業が取り残されるのでは、という危惧もあります。再び輝きを取り戻すにはどうしたらいいでしょうか。

菅原 優れた日本の企業もあります。彼らはグローバルにビジネスを展開しています。ネットワークを活用し、最適な場所で生産し、最適な場所でマーケットしています。伝統的な企業も、取捨選択を進め、勝てるところにシフトする、そのスピード次第で勝ち残りが決まっていくでしょう。

 日本の強みは、優秀な人材にありました。世界トップクラスのブロードバンドネットワークを生かし、大学がオンライン上に聴講システムを構築するのも1つの手段でしょう。欧米ではロンドン大学をはじめ、そうした先進的な事例はたくさんあります。人材育成のスピードも高めていくべきです。

2003年、今年のお正月は?
毎年、正月には兵庫県の実家に5人兄弟が集っていた菅原家だが、今年は不幸があり、旅行を計画しているという。「海でも眺めながらのんびりと過ごしてリフレッシュしたい」と菅原社長。「ゴルフ三昧かもしれませんね」と笑う。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]


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