ユビキタスの最先端が「HITACHI-ITコンベンション2004」に結集

国内外で注目されているユビキタス。並行開催の「e-Japanサミット2004」と共に、7月22〜23日開催の「HITACHI-ITコンベンション2004」では、実社会に組み込まれるRFID、無線LAN、映像配信のデータベース化など、新たな情報管理を具体化する。

» 2004年07月06日 18時00分 公開
[聞き手:木田佳克,ITmedia]

 日立製作所は、RFID(Radio Frequency IDentification)による非接触IC「ミューチップ」(μ-chip)を発表するなど、ユビキタスへの取り組みに積極的な企業として知られている。かつてアラン・ケイ氏が語ったように、ユビキタスは第3のパラダイムとして注目されており、最近は内外で多くのカンファレンスが開催されている。

 その日立製作所(以下、日立)による最先端の取り組みは、7月22〜23日に東京国際フォーラムで開催される「HITACHI-ITコンベンション2004」でセミナーを聞き、展示会場で見て、触れることが可能だ。なかでも「ユビキタスアクセス」カテゴリーでは、実社会と密接に関わるソリューションが多数展示、そして実社会に組み込まれたデモが会場に並ぶ。

 開催を前に、日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ・ソリューション統括本部、マーケティング部 部長の篠塚秀樹氏にトピックを聞いた。

ユビキタスプラットフォームグループ・ソリューション統括本部、マーケティング部 部長の篠塚秀樹氏

展示会場には書店を作り上げてRFIDソリューションを見せる

 「映像モニタリングシステム」は、監視カメラを使用して多拠点を管理するためのもの。セミナープログラムには「RFIDタグを活用した流通業向けモニタリングソリューション」(UA-06、23日13時〜)を揃え、関連展示も行う(セミナー参照リンク)。

 モニタリングシステムの事例として、展示会場には「書店」が作り上げられる。このデモは、ICタグを利用したモニタリングソリューションであり、書籍は棚を監視するCCDカメラと棚の背後に配置されるリーダで連携し、データベース管理されるという。「携帯電話からの書籍タイトル検索や、シュリンクされた書籍でも、ICタグ判別によってディスプレイ上で本の概要確認も可能なシステム」と篠塚氏。さらに、書店出入口に配置するセンサーによって盗難抑止も可能となる総合ソリューションだ。

 ほかにも、図書館で収蔵されている書籍をデジタルデータ化してインターネット配信サービスを行う「ELIB」(エリブ)も会場に並ぶ。ELIBは、現在多くの図書館でLDやビデオテープ、DVDなどとさまざまなメディアで蓄積されているものを一元情報管理するものであり、MPEG-2ストリームによる配信の円滑さと、著作権制約に新たなプロテクト技術を導入したソリューション。映像モニタリングシステムと同様に、映像とデータベースの情報管理がカギとなっている。

多業種対応を見据えたソリューション展示と関連セミナーを揃える

 流通業以外にも、ユビキタスに関わる取り組みは幅広い。日立は、情報管理の基盤となるメディア標準化推進にも関わっている。

 「iVDR」(information Versatile Disk for Removable usage)は、国内外の家電、ハードディスクドライブ、自動車メーカーによって「iVDRコンソーシアム」として普及を狙う。ベアドライブを独自パッケージに内蔵し、ケース形状とインタフェースを規格化しているものだ。会場にて展示を行う。

 関連するセミナーには、AV情報家電や携帯電話組み込みをテーマとする「ユビキタスHDDが提供する新しい情報基盤」プログラム(UA-01、22日13時〜)がある。また、同日14時からのセミナーは、街角で利用する「ユビキタススポットを活用する新ビジネススタイル」プログラムがあり、こちらも事例を交えた内容になるため注目してほしいと篠塚氏。

無線LANを利用する位置情報管理ソリューション

 無線LANを活用するシステム「日立AirLocation」が取り上げられる「無線LANを利用した位置情報管理システムビジネス」プログラムは、位置情報の多様化を示すソリューションとして注目だ(UA-08、23日14時30分〜)。適用分野として篠塚氏は、自動車販売における駐車位置の情報管理を挙げ、物流・倉庫での位置情報管理に適したものだと語る。

 ほかにも、高齢者や障害者向けに支援を行う製品「心友」「伝の心」は、「シニアの事業型NPOで地域活性化実践」プログラムと関連するもの(UA-03、22日16時〜)。多くの導入事例がある両製品は、今後の高齢化社会に向けて地域ビジネスという視点で語られる。

 さらに、動画配信ASP「MediaSpace」は、ストリーミングサーバとDBサーバ活用で多拠点へと一斉配信を可能とするソリューションだ。特徴は素材データ管理と自動エンコード、そして簡易編集を可能とする点にあり、システムが配信スケジュールと拠点端末の稼働監視を実現するものだ。関連するセミナーは、「拡大する映像・モニタリングの活用」(UA-09、23日16時〜)として揃い、会場にも展示する。いかに、映像のデータベース化、そして位置情報の管理がユビキタス社会に重要かを示す。

プラズマディスプレイの勢いは家電からビジネス用途まで

 ほかにも「Wooo World」スペースは、プラズマテレビを始めとする家電デジタルAV機器の展示になる。セミナープログラム(UA-04)と合わせ、日立が取り組むグローバルな家電戦略が聞けるだろう。

 展示会場で、その巨大さから目を引く存在になると予想されるのは、初公開となる55インチのタッチパネル付きPDP(プラズマディスプレイ)システム「ie-PDP」。ビジネスシーンではプレゼンで黒板代わりにしたり(42型もラインアップ)、遠隔ユニットを装備することで駅やホテルなどでは公共施設のインフォメーションボードとして利用することが可能だ。

 なお、22〜23日の同日程で並行開催の「e-Japanサミット2004」では、e-Japan戦略IIに携わる政財界、有識者が登壇する基調講演が予定されている。

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