SSL-VPNを中小企業にも、Aventailが新アプライアンスを発表

米Aventailは、中小企業向けSSL-VPNアプライアンスの新製品「Aventail EX-750」と、新ソフトウェアの「Aventail ASAP 7.2」をリリースした。

[高橋睦美，ITmedia]

　米Aventailは7月20日、SSL-VPNアプライアンスの新製品「Aventail EX-750」を発表した。同時に、リモートアクセス時のセキュリティを強化する新機能を追加した「Aventail ASAP 7.2」もリリースしている。

　SSL-VPNは、標準的なWebブラウザがサポートするSSLを用いて、自宅や外出先などから企業システムへの安全なリモートアクセスを行うための手法。同じく安全なリモートアクセスを実現するIPSec-VPNに比べると、あらゆるクライアント／サーバ型アプリケーションにアクセスできるわけではないが、クライアント側での専用ソフトの導入、設定の手間が必要ないため、全体の運用コストを削減できる点が特徴だ。こういった利点が評価されてかSSL-VPNに対する需要は伸びており、AventailのほかJuniper Networks（旧Neoteris）、F5 Networks（旧uRoam）、Cisco、Nokiaといった企業が市場に参入している。

　今回Aventailがリリースした新アプライアンスは、SSL-VPNは利用したいが、従来機種のEX-1500ではややオーバースペックだと考えるエントリレベルのユーザーを対象とした製品だ。負荷分散機能を除いて、EX-1500が備える機能をそのまま継承しながら、最大同時接続ユーザー数を50ユーザーに絞った（EX-1500では最大1000ユーザー）。これにより価格も最大で35％に抑えており、中小企業や部門単位での導入が容易になったという。

Aventailのアジア太平洋運営ディレクターのリチャード・ティン氏は、EX-750を「エントリレベルのユーザーに適した製品」だと述べた

　同時に、SSL-VPNアプライアンスのプラットフォームとなるソフトウェア、「Aventail ASAP」もバージョンアップされた。

　SSL-VPNは、Webブラウザさえあればどこからでも社内システムにアクセスできる手軽さがメリットだ。だが、不特定多数のユーザーが利用するインターネットカフェのような環境では、セッションでやり取りされた重要な情報が端末に残され、第三者の目に触れる恐れがある。そうした事態を防ぐため、多くのSSL-VPN製品では、VPNセッション終了後のキャッシュ消去機能を搭載するようになってきた。

　Aventail ASAPも同様で、キャッシュファイルだけでなくCookieやブラウザの履歴、オートコンプリートで記録されたパスワードなどの削除をサポートしてきた。特に、セッション確立前に端末の状況をチェックし、キーロガーなどの悪意あるコードが含まれていないかどうかを確認したり、一定時間入力がない場合にセッションを終了させるといったユニークな機能を備えている。

　Aventail ASAP 7.2はこの機能がさらに強化され、「Aventail Secure Desktop」と呼ばれる機能が追加されている。これは、VPNセッション時に、仮想的な一時保管場所を作成し、やり取りされるメールやファイルはすべて、その中に暗号化して格納するというものだ。セッション終了後は保管場所ごとすべての情報が廃棄される。これにより、セッション中のみならずセッション終了後の情報の安全性を確保する。新バージョンでは他に、シングルサインオン機能の拡張や管理インタフェースの改良などが施されている。

　ASAP 7.2を搭載したAventail EX-750の価格は、25ユーザーで118万円から。代理店であるテクマトリックスでは7月末よりアプライアンス本体の販売を開始するほか、三井物産では同製品を用いた、より低価格なSSL-VPNマネージドサービスの提供を検討しているという。

　Aventailのアジア太平洋運営ディレクター、リチャード・ティン氏は、「SSL-VPNはアプリケーションセキュリティの基盤だ」と述べたうえで、今後のバージョンでさまざまな技術を追加していく方針を示した。特に、アクセスしてくる端末が搭載するOSのバージョンやパッチの適用状況、ウイルス対策ソフトやパーソナルファイアウォールの有無を検査したうえで、どのリソースへのアクセスを許可するかを判断するエンドポイントコントロール機能を、内外のパートナーと協業しながら組み込んでいく計画という。