ニワトリとタマゴの問題への考え方は?RFIDを育てる(2/2 ページ)

» 2004年09月09日 02時24分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]
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 ここで、2つの考え方が出てきます。1つは「読み取り精度が100%にならなければ使えない」というものです。

 一方で、バーコードの時のことを思い出すと、当初は読み取り精度が非常に低かった。今はそれが非常に高くなっている。技術がそのように進歩するまでには、必ず試行錯誤が必要になってきます。バーコードリーダーの性能が低いからという理由で、バーコードをだれも使わなかったとしたら、今の性能のいいバーコードシステムは存在しなかったわけです。

 生産技術の観点から考えても、RFIDは、使っていくうちに性能を研ぎ澄ましていくタイプの技術です。だから、「読み取り精度が高くないから今はICタグは使いません」と言っていると、いつまで経っても精度が上がらないかもしれないということになる。そのジレンマをどう解消していくかが課題になります。

ITmedia 同じタグを複数回読んでしまうといった問題もあります。

堀田 さらに、コリジョンの問題もあります。バーコードの場合は、人がスキャナをかざして読み取るため、ある程度コントロールできます。読めるまでやれば、「読めなかった」という結果で終わることはない。しかし、ICタグでは、読めないという状況があり得るのです。

 ICタグの本質は、人手を介さないで自動的に内容をスキャンして、そのままラインに流れていくことにあります。そうなると、読めないままラインに流れる可能性があると、「それは使えない」という結論になるかもしれません。したがって、初期の段階では、完全自動化は無理でも、一部人手による作業というコストを負担してでも、「読み取り精度」を保証しながら使っていく姿勢が必要です。

 そして、使っていくうちに徐々に読み取り精度を上げて、100%の精度を確保した段階で、完全なメリットを享受できればいいわけです。こうした先を見越した取り組みをしていかないと、この問題は解決しないでしょう。

 RFIDに幾つかのメリットがありますが、検品の人件費を削減できるというのは、ICタグ導入効果の「One of them」であり、決して大きいものではありません。

 それよりも、リアルタイムでデータが担保できることにより、在庫圧縮やリードタイムの短縮を図ったり、より多頻度の小売業者への製品補充によって売り上げロスを防ぐといった効果の方が、価値が大きいのです。ですから、読み取り精度が100%になったらどんなメリットが得られるかといった視点で考えていくべきで、入り口で止まってしまうと本質を見失うと考えています。

ICタグを読み取るリーダー/ライター(撮影はSun RFID デザインセンター。)



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