ボーランドのSDO、Delphi 2005日本語版登場で.NETへ加速

Win32、.NET Framework開発のバイナリ統合、そしてC#を含めたマルチ言語IDEとしてDelphiの日本語版が登場。ソフトウェアデリバリーの最適化は、.NET開発環境へと向けられた。

» 2004年11月10日 17時06分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 米国サンノゼで開催された「BorCon 2004」でSoftware Delivery Optimization(SDO)を掲げ、Borlandの目指すソフトウェア開発の進化形が語られたのは、9月のこと。ALMをベースとしたSDOは、開発プロジェクト全体を見据え、開発ツールの機能性に留まらないものとして位置付けられている。

 そして11月となって国内でも.NETの開発環境に新たな製品が発表された。

 「Borland Delphi 2005日本語版」は、Diamondbackとして既報でも触れられているが、チーム開発の生産性改善がひとつのキーになっている。

 機能性ではDelphi 8まで別々の機能として位置付けられていたWin32、.NET Frameworkがバイナリの統合化、そしてC#もサポートすることでマルチ言語環境として統合開発環境の魅力を高めた。以降、従来までのC# Builderの機能は、Delphiの中で息づいていく。

 チーム開発の生産性向上は、Delphi 2005のStarTeamクライアント統合が担う。開発者間のコラボレーション機能を搭載することで、開発プロジェクト全体の効率化を高めていく狙いだ。さらに、モデルドリブン開発のフレームワークECO(Enterprise Core Objects)II、リファクタリングやユニットテスト搭載により、開発ツールのみの機能性から払拭しているバージョンアップだといえる。

 米Borland、デベロッパー・リレーション担当副社長のデイビッド・インターシモン氏に、製品出荷のタイミングについてを聞いた。

デビッド・Iのネーミングでも知られているデイビッド・インターシモン氏

 「Borlandは、常に開発ソフトウェアの開発継続をしていく上で、ASP.NETやADO.NETなども効果的なサポート、そして新たなテクノロジーには追従し、進化させていく必要がある。それがBorlandの姿勢だ」と語る。

 さらに、Delphi 2005の.NETやWin32統合による現行開発と将来性を見据えた選択肢を提供できたことにも大きな意味があるという。「Delphi 2005は、Delphi 8出荷後から1年以上掛けて手がけてきた。常に現在のものが将来も利用できるように互換性保証することが大切だと考えている」とインターシモン氏。

来日は初めてだというマイケル・スウィンデル氏。デベロッパーカンファレンスでも講演を行った

 現在ベータ段階である.NET Framework 2.0についての見解を、米Borland、Windows/.NET開発ツール製品管理部長のマイケル・スウィンデル氏に聞いた。「Delphi 2005は現在.NET Framework 1.1対応。.NET Framework 2.0は2005年夏以降と聞いている。もちろんBorlandでも2.0が製品として登場すれば、当然対応することになる」とスウィンデル氏。

 VS 2005で特徴となるExpressエディションに対するコメントについては、「パーソナル(スタンダード)エディションは製品登場において後半に出荷する位置付け。もちろんパーソナル、学習、アカデミックライセンスも用意しているが、コアとなるのはビジネスユーザーの開発効率化だ」という。

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