準備整うJavaアプリサーバ「Apache Geronimo」

オープンソースのJavaアプリケーションサーバ「Geronimo」は、2005年にJ2EE認定を受けて正式リリースを目指す。まだプレリリース段階だが、Geronimoの技術は既に商用製品で利用されている。(IDG)

» 2004年11月17日 11時12分 公開
[IDG Japan]
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 Apache Software Foundation(ASF)が開発中のオープンソースJavaアプリケーションサーバ「Geronimo」は、規制順守システムなどのアプリケーションになじみやすい、適応性のある技術基盤を提供するだろう。このプロジェクトに取り組む技術者はそう話している。

 ラスベガスで11月15日に開催されたApacheConカンファレンスで、Geronimoは初期の「Milestone」リリースに達しており、2005年には完成版の一般向けリリースを目指しているとApache Geronimoの創設者兼開発者ブルース・スナイダー氏は明らかにした。一般向けリリースは、GeronimoがJ2EE 1.4認定を受けてからになる予定だ。Milestone 3は先週リリースされた。

 オープンソースの「JBoss」やBEA Systemsの商用製品「WebLogic」などほかのアプリケーションサーバに対してGeronimoのどこが魅力的かという質問に対し、スナイダー氏は、Geronimoはカーネルが軽いため、米企業改革法やHIPPA(医療保険の携行性と責任に関する法律)などの特殊なアプリケーション向けに容易に構成できると強調した。Geronimoのカーネルは、コンポーネント構成や従属関係管理などの分野にフォーカスしている。

 「(このカーネルは)ユーザーが望むあらゆることに対応しやすくしてくれる」とスナイダー氏。Geronimoはまだプレリリース段階だが、その技術は既に商用製品で利用されていると同氏は語った。

 Apacheはまた、GeronimoのApache BSDスタイルのライセンスも強調している。スナイダー氏はこのライセンスを、GPLやLGPLよりも制約が少ないとしている。GPLやLGPLでは、コードに加えた変更をコミュニティーに公開することが義務付けられている。「ソースコードに特許付きの技術を盛り込んでいる多数の営利企業は、オープンソースの世界にそれを公開することができない。GPLベースライセンスとApacheオープンソースライセンスには明確な違いがある」と同氏。

 Geronimoセッションの参加者は、Apacheのプレゼンでライセンスの違いが強調されたことに注目した。

 「ライセンスが製品開発の主導要因のように思える。これは興味深い」とコンサルティング会社Qwan Technologiesの主任コンサルタント、デビッド・ノーブル氏。同氏は、GPLスタイルのライセンスは政府機関での利用に適しているが、Apache BSDライセンスはより企業に合っていると語る。

 Geronimoは、EJBサポート、メッセージング、セキュリティを特徴とする。今後クラスタリングも追加される予定だが、J2EE 1.4認定の必要条件ではないため、現時点では大きな焦点にはなっていない。

 またApacheConでは、Apacheが計画しているオープンソースのスパムフィルター「SpamAssassin」のバージョン3.1が、スピードと精度を重視したものになることをSpamAssassinのプログラム管理委員会の一員で、同ソフトのプレゼンを行ったテオ・バン・ディンター氏が明らかにした。

 SpamAssassin 3.1は3〜4カ月のうちに登場する見込みで、フィルタリングの高速化、メッセージ内のスパム関連パターンを探す(フィルタリング)ルールのアップデート迅速化が実現されるもようだ。Apacheがスパム対策ソフトを出し抜こうとするスパム業者の先を行けるよう、ルールは迅速にアップデートされなくてはならないとバン・ディンター氏。「これは本当に軍拡競争だ」

 またバージョン3.1では、「early exit(早期終了)」機能が計画されている。この機能では、スパムエンジンが処理の早い段階で、電子メールがスパムであると認識した場合、そのメールはルールエンジン全体を通して処理されることはない。

 またApacheConでは、「新スタートレック」「スタンドバイミー」に出演した有名な俳優兼作家兼ブロガーのウィル・ウィートン氏が、ブログとインターネットは世に向けて言いたいことがあるあらゆる人に力を与えると賞賛するコメントを発した。

 「ブログは、人々が意思を伝え合う方法を変えつつある。主流のメディア、政府機関、権力者たちがわれわれを会話から締め出すことはますます難しくなっている。これはエキサイティングだ」(ウィートン氏)

 同氏は、CBSが偽造されたと思しきブッシュ大統領の軍歴に関する文書を報道に利用した件や、トレント・ロット上院議員が(人種隔離政策を掲げた)ストローム・サーモンド上院議員が大統領に当選していたら良かったと発言した件(訳注:この発言はブログで話題になり、その後大手メディアにも取り上げられるようになった)では、ブロガーは大手報道機関を打ち負かしてさえいると語った。

 問題の文書の信ぴょう性に疑問を唱えたのは、「多数の保守的なブロガーだった」と同氏。「これをやったのはごく普通の人々だった。10年前にはあり得なかったことだ」

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