JSFは「Javaをやさしく」

Java Sever Faces(JSF)は、Javaの統合開発環境(IDE)を使いやすくするためのコンポーネント規格。18日、サン、IBM、オラクルそれぞれのJSFが「J2EEカンファレンス」で語られた。

» 2004年11月19日 16時08分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 11月18日、日経BPJavaプロジェクト主催の「第5回 J2EEカンファレンス」が品川・ミツビシモータースホールで開催された。このカンファレンスには、サン・マイクロシステムズ、日本アイ・ビー・エム、日立ソフトウェア、日本オラクルなどから講師が招かれ、J2SE 5.0(Tiger)、J2EE 5.0(EJB 3.0)、JSFなど最新の開発手法についてがテーマとなった。

 「JSFでWeb開発はこう変わる」と題された講演には、サン・マイクロシステムズ、エンタープライズウェブサービス・ソリューション本部 シニアテクニカルスペシャリストの藤井彰人氏、日本アイ・ビー・エム、シニア・テクノロジー・エバンジェリストの米持幸寿氏、日本オラクル、テクニカル・エバンジェリストの佐藤直生氏が壇上に上がり、それぞれのJSFが語られた。

サン、IBM、オラクルそれぞれのJSF効果

 サンの藤井氏は同社のSun Java Studio Creatorについて、「NetBeansの上に作られており、EoDはいろいろな階層で語られるべきだが、Creatorはエントリーレベルで語られるもの。10分間程度でWebアプリ構築ができるという点が真価」とコメントした。

 また、CreatorはWebサービスを使う側のユーザー、サービスを作るのは上位のSun Java Enterprise Systemプロダクトで担うものと言い、エントリーレベルの生産性を追求しているという。「JSFそのものがEoD実現に直接結びつかないが、重要な技術である」と藤井氏。

 また、「開発者によっては10年前のクライアント・サーバの開発形態を想像しがち、JSFのような画面ごとに管理するのでは分散しがちでは? 」との問いに藤井氏は、「JSFはコンポーネント。エンタープライズとエントリー側でいっしょにしない方がよい」という。

 IBMの米持氏からは、「EoDの基本はIDEが使いやすくなること、そしてJSFは各ベンダーの付加価値。JSPと違い、JSFにはコンポーネントという考え方がある」と言い、さらに「UIコンポーネントが注目すべき点。ローカル実行も見据え、Webアプリ開発のためのUIが含まれている」とコメントされた。

 さらに、「サーブレットとの分離があり、UIコンポーネントモデルを使うことで、従来のようなHTMLだけのレンダリングだけでは実現不可能なものまでを実現できる。IBMのFaces Clientコンポーネントは、Rational Web Developerなどに付属するもの。ボタンなどの表示は、サーバサイドでレンダラーが作り上げてから、ブラウザへと送る。このため、ソースコードには含まれずメンテナンス性も良い」という。

 オラクルの佐藤氏からは、JDeveloper 10gについて、次期バージョンでJSFに対応することが告げられ、開発者があらゆるレイヤーで選択できるようOracle/ADFアーキテクチャを採用している点に触れた。JDeveloperは現在、Strutsをベースに開発の容易さを追求している。

 現在でも早期試用としてADF Facesコンポーネント(JSFコンポーネントと同等)が同社サイトからダウンロード可能だ。

 佐藤氏は、「現行のJDeveloperでは、Strutsを用いている。JSPかUIXを選択でき、UIXのビジュアルエディタを用いれば、UIXの豊富なコンポーネントを利用することが可能」とコメントした。

統一性がテーマ

 「JSFを使って何ができるのかという点が問われ、基盤としてJ2EEがあるが切り分けする役割分担が問われる時期ではないか? 」との問いに、サンの藤井氏は、「Creatorは非常に廉価。そしてリアリティなEoDにフォーカスしたかった。Javaコードをあまり記述しないニーズのターゲットに絞ったものだが、これまでも業務上でDBデータをJavaで呼び出したいだけといった声を多数聞いてきた」と、現在のユーザーニーズに応えることが使命だったと語る。さらに、「データソース定義がしっかりとしていれば、容易に取り出せるフロントエンド作成ツールになり得る」という。

 IBMの米持氏は、「抽象化が重要な点。SDOにアクセスする背後は柔軟性を持つコネクタ構造が理想であり、しっかりとガイドラインがあって標準化されると可能性が広がる。JSFを多段活用するのがよいだろう」と語る。

 また、フロントエンド(画面周り)は、IBMはSDO、オラクルはADFなどと個性があるが、DBアクセスを容易にしたいというのは大きなテーマだったという。

 フロントエンドの作りは容易になるが、JSFを適所に使う切り分けが必要では? との問いに米持氏は、「これまでJavaはサーブレットモデルに依存しすぎてきた。当初JSFの資料を読んで、これはクライアントモデルにも使えると考えた。例えばフロントエンドはSwingであって、背後はJSFといったことも可能。発展していくことで強みが出てくるはず。使い分けよりも統一していくことが重要ではないだろうか」と語った。

 一方、Strutsを利用しているユーザーが多いのも事実であり、今後のテーマになると指摘する。

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