ブレードサーバで企業システムのすべてを――デル新製品仮想化技術が実現

デルは、EMCジャパンのオフィスで記者向けのブリーフィングを行い、2002年11月以来となるブレードサーバ「PowerEdge 1855」を11月にリリースした。

» 2004年12月14日 19時48分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 デルは12月14日、EMCジャパンのオフィスで記者向けのブリーフィングを行い、2002年11月以来となるブレードサーバ「PowerEdge 1855」を11月にリリースしたことに伴い、VMwareやEMCのストレージ製品を組み合わせたソリューションとして、顧客企業に提供していくことを明らかにした。

布谷恒和マネジャー

 エンタープライズ事業本部の布谷恒和マネジャーは、「2002年以来満を持してのリリース」とするPowerEdge 1855を紹介するにあたり、企業がブレードサーバを利用する際の問題点を幾つか挙げた。

 「ユーザー企業はブレードサーバについて、1Uサーバの構成と比較して価格が高い、スペックが劣る、特殊な運用管理が必要になる、複数世代のブレードにシャーシが対応していないといった点により、採用を見送ることが多かった」(布谷氏)

 PowerEdge 1855は、こうした点をクリアするスペックになっている。シャーシは7Uで10枚のブレードサーバを格納できる。CPUは、EM64T対応のIntelのXeon 2.8/3.0/3.2/3.6GHz。ホットプラグのSCSIは2ポート、DIMMスロットは6つ。ファイバチャネル接続に対応している。

 また、旧来品となるPowerEdge 1655MCの価格は、筐体に1台のサーバを組み入れた最少構成で56万8500円からとなっており、割高な印象はぬぐえなかったが、新製品のPowerEdge 1855では価格競争力を大幅に強化した。シャーシは7万1900円から、ブレードは21万円からとなり、シャーシに10枚のブレードを搭載しても、300万円以内で納まる。「6サーバ以上の構成ならブレードの方が割安」と同社はアピールしている。

スケールアウトで主役を狙う?

 PowerEdge 1855の利用形態として、同社は、「Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバのいわゆる3階層モデルをすべてブレードで集約し、統合できる」と話す。一般に、ブレードサーバの用途はWebサーバが中心と言われる中で、大規模でなく2ウェイサーバ程度のプラットフォームならば、データベースにもブレードサーバを利用できるとなると、中堅企業の情報システム担当者にとっては検討の価値はありそうだ。ブレードサーバを導入することにより、サーバ設置スペースを削減できるなど、多くのメリットがあるからだ。

 ただし、ハードウェア単体では、ブレードサーバを幅広い用途に利用するには限界がある。今回デルは、ブレードをサポートするさまざまなソフトウェアを組み合わせて、サーバソリューションとして顧客企業に提供することも併せて明らかにしている。

 その1つが仮想化技術だ。デルは、EMCとの協業関係を生かし、EMCの子会社であるVMwareの仮想化ソフトウェアである「VMware ESX Server」をブレードサーバと組み合わせる。1台のPowerEdgeサーバの上にVMware ESX Serverを被せることで、その上で、OSおよびアプリケーションが稼動する仮想マシンを複数確保することができるため、1台のサーバ上で、たとえば、Notes、BizTalk Server、Linux、Oracleデータベースなど、さまざまなソフトウェアを同時に利用できるわけだ。

 そのとき、仮想マシン同士はカプセル化されているため、お互いに影響を与え合うことはない。これらは、VMware ESX Serverが、基盤となるハードウェアの違いを吸収することで実現する技術だ。

 さらに、VMotionと呼ばれる機能により、サーバのハードディスク部分の機能を仮想化することもできる。この場合も、通常ハードディスクが担う役割を果たすのが仮想マシン。仮想マシンは物理サーバとは分離できるため、たとえば、1つの物理サーバのメンテナンスを行う場合、ほかのサーバ上で当該の仮想マシンの稼動を継続させることで、システムの運用を停止させることなく、アップグレードやブレードの交換といった作業を行うことができる。

 加えて、単一障害点を排除する「SANブート」という機能にも注目される。SANブートは、ブレードサーバのハードディスクを、SANのストレージ上に置く機能。これにより、サーバとディスク、つまりデータが一体ではなくなることで、サーバに障害が発生した場合にも、データの喪失やシステム停止を避けることができる。

 さらに、SAN上のディスクは、クローンと同期を取っているために、もし物理的にディスクが破壊されたとしても、データを守ることができる。

 ブレードサーバが本格普及期を迎えることができるかに注目が集まる。

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