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» 2005年01月12日 16時01分 UPDATE

欧州オープンソース動向第4回:欧州発世界レベルへ――ObjectWeb

フランスには仏政府やFrance TelecomとBullという仏大手企業の支援を得て設立されたコンソーシアム「ObjectWeb」がある。プロプライエタリなベンダーからのロックインを回避したいという思いがObjectWebを後押ししている。

[末岡洋子,ITmedia]

メジャーに進出するObjectWeb

 政府主導のオープンソースの取り組みとして、フランスには仏政府(国立研究所INRIA)、それにFrance TelecomとBullという仏大手企業の支援を得て設立されたコンソーシアム、ObjectWebがある。ミドルウェア開発を専業とし、最近ではアプリケーションサーバ「JOnAS」(Java Open Application Server)が米Red Hatのアプリケーションサーバ「Red Hat Application Server」に基盤技術として採用されている。また、米Lutrisが2002年にホスティングを中止したアプリケーションサーバ「Enhydra」の開発を引き継いだのもObjectWebだ。

 1999年に創業された同コンソーシアムは現在、37の企業会員と約1000人の個人会員を有する。コンソーシアムの役割は、これら会員にオープンソースプロジェクトの開発土台を提供すること。会員から提案されたプロジェクトが承認されると、リーダーが決まり、“College of Architect”と呼ばれるエキスパート集合体(INRIAや提携研究機関の研究者を中心とした技術集団)の下で開発作業が進められる。現在アクティブなプロジェクトは60を超える。

 「技術的ガバナンス、研究開発期間の短縮、ビジネス主導の土台の提供などがメリットとなる」と同コンソーシアムのエグゼクティブ・コミッティのフランソワ・ルテリエ氏は説明する。このような集合的な技術力と中立性は、ベンダー単体で開発する競合ミドルウェアにはないメリットという。

object.jpg ObjectWebのエグゼクティブ・コミッティのフランソワ・ルテリエ氏

 JOnASは今年初め、「JBoss」などとともに米Sun MicrsosystemsよりJ2EE 1.4互換性テストスイートの供与を受けた。当初、2004年秋には認定を受ける見通しだったJOnASだが、秋の時点でこの予定が「年内」となり2005年1月12日現在、まだ認定を受けていない。しかし、現在も作業中で、数カ月内に認定が受けられる見通しだ。コンソーシアム関係者は、J2EE互換は信頼性獲得という点でさらなる弾みとなるだろうと期待している。

 ObjectWebの各種ミドルウェアは、独教育機関のeラーニングシステムなど、公共と民間、両方のユーザーを抱えている。「2001年ごろから変化を感じた」とルテリエ氏。これまでの先進的ユーザーだけでなく、大企業や政府などからの問い合わせや利用が増えたという。「コストはもちろんだが、プロプライエタリなベンダーからのロックインを回避したい、つまり自分のシステムを自分で管理したいという要求が高まっている」とその要因を分析してくれた。

 欧州のOSS活動としてはこのほか、ベンダーとしてデータベースのMySQL(スウェーデン)、先に紹介した仏Mandrakesoft、米Novellに買収された独SuSEなどが、プロジェクトとしてはKNOPPIXやKDEなどが国際的に知られている。

 クラスタ技術のサポートなど技術面を強化し、米IBM、米Microsoft、米Oracleの3大DBベンダーを脅かす存在に成長しつつあるMySQLの共同創立者兼オープンソース人(opensoucer)のデビット・アックスマーク氏は、「ドキュメンテーションとコードを同時進行させてきた」と説明する。オープンソースと聞くとアマチュアのイメージがつきまとうが、「MySQLにはボランティアは存在しない」と氏は言い張る。在宅ベースで作業をする同社の開発者は全て報酬を得ているプロフェッショナル。「われわれはお金を作るために設立したのだ」(アックスマーク氏)。

 2004年秋、ObjectWebはエンタープライズ・サービス・バス(ESB)プロジェクトを開始、仏パリで開催したキックオフミーティングに参加させてもらった。独SoftwareAGや米Sonic SoftwareなどのESBベンダー、仏Capgeminiなどのコンサルティング企業や地元SI事業者を招き、メンバー企業と研究者らは、ESBとは何かに始まりOSSの可能性について熱心に議論した。ObjectWeb側は招待したベンダーの出席者に対し、「われわれにノウハウを提供してくれるか」「OSSの可能性はあると思うか」といった質問を浴びせかけ、ベンダー側を圧倒していた。

 OSSは趣味レベルを脱し、1つの開発・事業モデルとして定着しつつある、そんな感触を受けた。

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