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» 2005年01月24日 09時00分 UPDATE

個人情報保護法を読み解くキーポイント第2回 個人情報保護法とはどんな法律か? (1/3)

個人情報保護法は、保護法といっても個人情報を直接保護するために、特別な権限や権利を付与する性格の法律ではない。事業者規制法といえる。第2回は、同法の位置づけから、適用対象者の詳細、適用範囲までを解説する。

[牧野二郎(牧野総合法律事務所),ITmedia]

 個人情報保護法は、保護法といっても個人情報を直接保護するために特別な権限や権利を付与する性格の法律ではない。個人情報の有効活用とその保護を行うことで、国民の権利利益を保護するものであり、仕組みとしては事業者の個人情報の取り扱いに関する規制を行う法律である。

 その意味で、個人情報保護法は事業者規制法といえる。したがって、規制対象としては、個人情報を取り扱う事業者のみが対象となり、その取り扱う個人情報が安全、確実に保護されるように行政庁が監視・監督するという法律なのである。

国民の権利利益との関係

 この法律は、事業者の個人情報保護の取り扱いに関する規制を定めているため、個人の具体的な請求権との関係をどう見るのか、という問題がある。個人情報の漏えいなどが発生した場合に、漏えいだけで損害賠償請求が可能なのか、また、本人からの開示請求が権利として定められていると読むのか、本法律で具体的な請求権が定められたといえるのか、など解釈する上で問題が発生している。

 この点は、まだ議論がまとまっていないのが現状だ。しかし、この法律の性格が事業者を対象とした規制法であること、さらには開示制度についても、「国民は・・・・することができる」という権利規定として表記されておらず、「事業者は・・・・しなければならない」と表記されていることからも、国民の権利利益を直接規定するものとはいえないと考えられる。

 では、国民の権利保護はどうなるのだろうか。その部分は民法の権利保護制度に依存することになる。原則的に権利侵害は、プライバシーという権利をどのように侵害されたかを明確にすることで、民法の不法行為などで検討することになると思われる。これまでも、京都の宇治市における住民基本台帳記載情報の漏えいに関しても、早稲田大学江沢民講演会参加者名簿無断提供事件の際も、プライバシーの侵害に当たるかどうかを具体的に検討してきたのであり、権利利益自体の保護は民法などの基本的法律によって行われている。

 重要な点は事業者には、消費者から提供を受けた個人情報を、どのような事業に利用するかを示す「利用目的の特定」と「通知、公表」といった義務があることだ。すでに、多くの企業は、セキュリティ対策を実施して顧客から提供された情報を安全確実に守ることを宣言し、約束している。さらに、開示制度についても、その手続きを定めて公表することになる。

 こうした公表という行為により、個人情報の提供を承諾した利用者、消費者と企業の間に、「いわば『約款』のようなものに合意した」という契約上の責任が発生する場合もある。この場合には、契約責任が問われる可能性も発生する。

不法行為と契約責任の違い

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