SCOの証拠は全く不十分――判事が断定

IBMとSCO Groupの間で争われている著作権侵害訴訟で、連邦地裁のデール・キンブル判事は、SCOの申し立てを退けた。長期にわたる両社の紛争の終局を予感させる判断だと言えそうだ。

» 2005年02月14日 22時20分 公開
[IDG Japan]
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 IBMとSCO Groupの間で争われている著作権侵害訴訟で、連邦地裁のデール・キンブル判事は、SCOは主張を裏付ける証拠を提供する能力が「驚くほど」欠如していると断定、IBMの反論の棄却を求めたSCOの申し立てを退けた。これは、長期にわたる両社の紛争の終局を予感させる判断だと言えそうだ。

 キンブル判事が今回下した裁定には、SCOの申し立てを却下した理由ならびに同社の不作為に関する詳細な説明が含まれている。

 「SCOが主張するUNIXソフトウェアの著作権をIBMなどが侵害しているとするSCOの多数の公式声明に照らし合わせて判断すると、IBMのLinux業務を通じてIBMがSCOの著作権を侵害したとする主張を立証するに足る証拠を一切提出していないのは驚くべきことだ」とキンブル氏は述べている。

 「さらに、SCOは関連する著作権を所有しているとする主張を立証できないとするIBMの申し立てを、SCOが準備書面の中で無視したのは傲慢だ」(同氏)

 さらにキンブル判事は、「SCOの非難声明と同社の証拠(あるいは証拠の欠如)の間には大きな落差が存在するため、IBMの申し立てを認めたくなるが、IBMはLinux業務を通じてSCOの著作権を一切侵害していないとするIBMの10回目の反訴について略式判決を認めるのは時期尚早だといえる」と述べる。なおIBMでは、SCOが主張するUNIXの著作権の一部あるいはすべてが無効であり、適用不可能であると考えている。

 このため、非侵害の宣言的判決を求めるIBMの申し立てについて部分的略式判決を求めたIBMの申請は裁判所によって却下された形になったが、同社の不利益にならないように、証拠開示が終了した時点で同申請が更新あるいは再提出されることになる。

 知的財産を専門とする法律事務所Open Source Lawのディレクター、ブレンダン・スコット氏によると、今回の裁定で最も重要なことは、SCOが証拠を提出できなかったことをキンブル判事が明確に断言したことだという。

 「要するにキンブル判事は、SCOは筋の通った議論をすべきであり、同社の主張は納得できないと言っているのだ。IBMは高いハードルを越えなければならなかったが、判事はIBMの主張にやや共感している」とスコット氏は話す。

 スコット氏によると、今回の判断はSCOにとって打撃であり、同社が勝訴する見込みは低くなったという。

 「SCOの問題は、非難はさんざんしたけれども、証拠を示さなかったということだ。2年前には証拠があると言っていたのだから、SCOは証拠を示す必要がある。同社が証拠を持っていて何らかの理由でそれを隠しているのか、それとも単なるホラなのかのどちらかだ」(同氏)

 スコット氏は、SCOが証拠を提示しなければ、判事が略正規判決を宣言して裁判を却下するというリスクを負うことになると考えている。

 「SCOにとって最善の反撃策は証拠を提示することだ」(同氏)

 なお、SCOではコメントを避けている。

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