2005年のブロケードは「サーバ爆発にまつわる課題を解決する」

ブロケードは、サーバの増加にまつわる管理負荷の増大という課題を解決するため、SAN上の仮想化/プロビジョニングアプリケーションを提供していくという。

» 2005年02月22日 18時01分 公開
[ITmedia]

 「ダウンサイジングにともないあちこちに散らばったサーバをどう管理するか。それが今後の課題だ」――ブロケード コミュニケーションズ システムズの代表取締役社長を務める津村英樹氏は、現在の情報システムが抱える最大の問題点をこのように指摘する。

 データの増加やダウンサイジングに伴い、企業システム内のサーバの台数もどんどん増加した。結果として、どこにどんなデータがあるのかが把握できないだけでなく、データ移行やパッチ適用をはじめとする運用作業に多くの時間とコストを要する状況になっている。「今の形ではもう限界。このままでは管理ができなくなってしまう」(津村氏)。

 この問題に対するブロケードの答えは、仮想化技術を織り込んだユーティリティコンピューティングというモデルだ。「SANのアプリケーションとしてプロビジョニング用のソフトを提供し、ワークフローに踏み込んだ形で、IT管理のコスト削減を支援していきたい」と、津村氏は今年のブロケードの方針を語った。

ユーティリティコンピューティング向けアプリを提供

 ブロケードは「Silkwormシリーズ」に代表されるSANダイレクタ/スイッチのベンダーだ。「ポートベースでは60%弱」(津村氏)という高いシェアを誇っている。

 これまで同社のビジネスの中心は、UNIXサーバ向けのミッドレンジ製品だった。2005年は、この分野でのシェアを確保した上で、ダウンサイジングの波やFICONサポートによって広がりつつあるメインフレーム市場と、大きな成長が見込まれるブレードサーバ市場にも力を注いでいく方針だ。特にブレードサーバに関しては、日本独自のアライアンスなども検討しているという。

津村氏 どのようなニーズにも応えられる幅広いラインナップを提供している、と述べた津村氏

 もう1つ津村氏が強調したのは、仮想化やプロビジョニングといったアプリケーションを提供することで、サーバやストレージの「爆発」というIT管理の課題を解決していくという点だ。「2005年中に、既存のストレージベンダーの製品を補完するような形で、ユーティリティコンピューティング向けのアプリケーションを提供していく」(同氏)。

 たとえばあるブレードサーバから別のブレードサーバへの切り替えを行いたい場合には、SAN経由でブートを行うことで迅速に移行、立ち上げを行えるようになり、リソースの有効活用につながる。管理者にとって頭の痛い問題であるパッチの管理/適用も、SAN側の共有プログラムで一括して対処できるという。

 「これまでサーバにインストールしていたアプリケーションをSANにインストールすることで、飛躍的に管理の手間は減る」(同氏)。これは、ブレードサーバに力を入れるという方針と表裏一体のものでもある。

まずは「SAN」というインフラありき

 ただ、そうしたユーティリティコンピューティング環境を実現するには、インフラの整備、統合が不可欠だという。

 「これまで個々の機器に依存していたリソースを、全体としていかに効率的に最適化するかがユーティリティコンピューティングのポイント。それを実現するのがプロビジョニングであり、SANというインフラのアプリケーションとして実現される必要がある」(津村氏)。

 ILM(情報ライフサイクル管理)という、ストレージ分野の「合言葉」も同じ文脈で騙られるべきという。「ILMとは、管理者やユーザーがそれと意識することなく、システムとして効率的にデータの配分を行うということ。各社ともその実現に向けてさまざまな製品を出しているが、その前提としてまず、さまざまな機器を1つのインフラに統合する必要がある。つまり、まずSANの統合があって、その上でILMが実現される」(同氏)。

 4月より施行となるe-文書法で注目される文書保存アプリケーションも同様だ。「集中管理が可能なSANというインフラを構築しているユーザーと、細切れのシステムを使っているユーザーとでどちらが問題解決に有利かという話。電子保存に限らずあらゆるデータ管理において、インフラがあればTCOも効率も格段に優れたものになる」と津村氏は主張する。

 その意味で「ファイバチャネルとTCP/IPの統合を実現し、SANをより大きなネットワークにする『Multiprotocol Router』も重要な役割を担う」という。

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