技術面での差別化とスイートとしての価値でIBM、BEAを追撃するOracleのアプリサーバInterview(1/2 ページ)

SOAのための基盤として大幅な機能強化が図られたOracle Application Server 10g Release 2の出荷が始まった。Oracle 10g Worldのために来日したビジェイ・テラ副社長に話を聞いた。

» 2005年02月28日 16時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

2月末、都内で開催された「Oracle 10g World」カンファレンスでは、Oracle 10g Release 2が国内でも正式発表され、「Oracle Application Server 10g Release 2」の出荷も始まった。新しいアプリケーションサーバは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)のための基盤として大幅な機能強化が図られている。12月のOracle OpenWorld San Franciscoでは、同製品を統括するトーマス・クリアン上級副社長が「過去最大級の機能強化」と売り込んだ。Oracle 10g Worldに彼の右腕として来日した、Oracle Application Server 10gのチーフストラテジーオフィサー、ビジェイ・テラ副社長に話を聞いた。

「妻は日本人」と話す親日家のテラ副社長

ITmedia Oracle 10g Release 2の目玉は、アプリケーションサーバの機能強化だという印象を受けました。Release 1からの主な強化点を教えてください。

テラ Oracle Application Server 10g Release 2は、インテグレーション、J2EE、アイデンティティー管理、ポータル、およびビジネスインテリジェンス(BI)という幅広い領域で400を超える機能強化が図られています。特にSOA(サービス指向アーキテクチャー)の基盤としてBPELベースのBPM(Business Process Management)機能やBAM(Business Activity Management)機能を搭載したのは重要です。

 新たに追加されたBPEL Process Managerは、BPELベースのプロセスモデリングとワークフロー自動化のためのツールですが、この分野で唯一、BPELをネイティブサポートしています。ほかのツールがインポート/エクスポートしかサポートしていないのとは異なり、例外の扱いなど、きめ細かな自動化が可能となります。

 一方、BAMはビジネスプロセスに関する数値を把握し、ビジネスプロセスを改善していく役割を担います。かつては証券取引やSCMなどの領域に限定されていた「イベント駆動コンピューティング」が、RFIDの普及によって今や大きな潮流となりつつあります。いわゆる「センス&レスポンス」のキーワードで語られていますが、BAMもそうした流れの中にあり、リアルタイムでKPI(主要経営指標)を監視することによって、ビジネスを可視化してくれます。

 BAMは、RFIDだけでなく、さまざまなビジネスアプリケーションから生まれるイベントをリアルタイムで収集・格納し、例えばイベント間にどのような関連性があるのかを分析し、ビジネスプロセスを最適化できるようになります。過去のデータを基に分析するBIを補う機能といってもいいでしょう。

顧客のニーズを絶えず注視

ITmedia 顧客らがミドルウェアに対して求めていることが変化しているのでしょうか。

テラ 何が求められているのか、われわれは常に注視し、製品にそうした機能を搭載してきました。例えば、SOAのライフサイクル全体に関連する機能です。サービスの開発、サービスの統合、EAI、B2B、BPELによるコーディネーションなどです。サービスが構築できたら、今度は社員に柔軟なアクセスを提供するためにワイヤレスの機能が必要になります。BAMでビジネスプロセスを監視したり、BIで分析したりすることも求められています。

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