「VMware Workstation 5」で知っておきたい3つのポイント

ヴイエムウェアは「VMware Workstation 5 日本語版」でのキーワードは、「チーム」「マルチプルスナップショット」「クローニング」の3点。チーム機能は特に押さえておきたいポイントだ。

» 2005年04月14日 23時38分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ヴイエムウェアは4月14日、ワークステーション向けの仮想マシンソフトウェア「VMware Workstation 5 日本語版」を発表した。

 VMwareは、ホストOS上に別の仮想環境(ゲストOS)を構築できるデスクトップ仮想化ソフトウェア。1台のPCで複数の仮想マシンを稼働させることでさまざまな用途が考えられるが、Workstationは普段それほど使われていないサーバのリソースを有効活用することを狙った製品というよりは、アプリケーション開発や動作テストの環境として使うことで、環境構築の手間や時間を削減することに重点を置いた製品となっている。

マイク・クレイビル氏 VMwareアジアパシフィック担当副社長兼ジェネラルマネージャーのマイク・クレイビル氏

3つのポイント

 VMwareアジアパシフィック担当副社長兼ジェネラルマネージャーのマイク・クレイビル氏は、今回のバージョンの特徴として「チーム」「マルチプルスナップショット」「クローニング」の3点を強調する。

 チーム機能は、複数の仮想マシンをグループ化して管理する機能。チーム単位で起動、停止、サスペンドを一元管理できるほか、稼働状況を1画面でモニターできる(ただしサムネイル程度の大きさ)。注目したいのは、チーム内の各仮想マシンでプライベートLANセグメントを設定できること。ネットワークの帯域やパケットロスの割合も設定できる。

チーム機能 複数の仮想マシン(画面では3台)をグルーピングできるチーム機能

 マルチプルスナップショットは、これまで1つしか取ることができなかったスナップショットを何世代も(HDDの空きがある限り)取ることを可能にした。スナップショットは時系列で管理でき、ある時点からフォークさせることもできる。

マルチプルスナップショット 何世代でもスナップショットを取ることが可能に

 そして、クローンは文字通り仮想マシンのクローン(コピー)を作成する機能。仮想マシンの完全なコピーを作成するフルコピーと差分だけを抽出するリンククローンが用意されている。これらのクローンはVMware GSX Server、VMware ESX Serverでも利用可能。

 このほかの機能としては、CPUのユーザーモードデバッグ/カーネルモードデバッグ、NXビット、XDビットのサポート、DirectX 8ベースのDirect 3Dを試験的にサポート(OpenGLアプリケーションはソフトウェアエミュレーションモード)、スピーカーやWebカメラなどデータが連続して流れるようなUSBデバイスクラスのサポート、Windowsのパフォーマンスモニタとの連動などが挙げられる。目新しい点としては、独自のコーデックを提供し、仮想マシンでの操作をムービーとして保存できることと、Microsoftの「Virtual PC」で作成した仮想マシンをVMwareで利用可能にするための「VMware Virtual Machine Importer」を別パッケージとして用意していること。コーデックは無料で、インポートツールはユーザー登録していればダウンロード可能になる予定。

進む64ビット対応

 また、64ビット環境への対応も進んでいる。ハードウェアではAMD Opteron、AMD Athlon 64、Intel EM64Tといった64ビット拡張機能を持ったプロセッサに対応している(ただしVMwareのカーネル部分は32ビットコード)。なお、仮想マシンが利用可能なメモリの上限は3.6Gバイトとなっているほか、これまで「VMware GSX Server」でのみ提供していたメモリ共有機能を搭載し、メモリの利用効率を上げている。

 ホストOSでは、Windows XPやWindows Server 2003 SP1、Red Hat Enterprise Linux 3/4、SUSE LINUX Enterprise Server 8/9の各64ビット版に新たに対応した。このうち、Windows XPとWindows Server 2003 SP1については試験的なサポートとなっている。また、ゲストOSについてもSun Java DesktopやNovell Linux Desktop 9など最新のOSがサポートされたほか、x86版のSolaris 9/10が試験的にサポートされている。

 価格はオープンプライスだが市場推定価格は3万円程度になる見込み。また、2004年12月15日以降にバージョンの4.5を購入したユーザーは無償アップグレードの対象に、それ以前に購入したユーザーは1万8000円程度でアップグレードが可能になる予定。

 VMwareはこの市場でこれまで独走状態だったが、現在はMicrosoftの「Virtual PC」だけでなく「Xen」のようなオープンソースプロジェクトも出てきている。これらについてクレイビル氏は、「管理面の充実1つ見てもVMwareは他社製品と比べて、2、3年は先行していると考えている。他社が追いついたと思ったときには、もうずっと先に進んでいる」と述べている。とはいえ、そこには他社を下に見る意図はないようで、発表会後にクレイビル氏は、「Microsoftやオープンソースソフトウェアの存在は歓迎だ。確かに競合ではあるが、お互いが高め合うことでまだまだ成長していけると考えている」と競合製品が現れてきたことを喜んでいた。

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