「サイバーセキュリティ次官補」新設へ、米下院の審議開始

この新ポストに就く人物は、米国家通信システムに関して国土安保省内で最高の権限を持つことになる。(IDG)

» 2005年05月18日 17時44分 公開
[IDG Japan]
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 米下院は5月18日、サイバーセキュリティ担当の次官補ポストを新設する法案(H.R. 285)について審議を始める。下院国土安全保障委員会のクリストファー・コックス委員長(カリフォルニア州選出・共和党)の広報担当者が明らかにした。

 サイバーセキュリティ次官補は、米国土安全保障省でサイバーセキュリティ関連のあらゆる重要インフラ保護策に責任を持つポストとされる。この法案は先月、下院小委員会の承認を得た。

 コックス委員長の広報担当者によると、同職の新設は、米国土安保関連のより広範な法案の一環。

 下院国土安保委の民主党有力者、ベニー・トンプソン議員(ミシガン州選出)は、次のように説明する。「コンピュータネットワークの機密性、完全性、可用性を確保するためには、政府と業界が密に協力しあわなければならないと考える。米国の経済と生活様式の安全を確実に守ろうとするなら、この取り組みが公共、民間の両セクターから最大級の関心を集める必要がある」

 次官補の任務は、国家サイバーセキュリティ対策システム、国家サイバーセキュリティ上の脅威と脆弱性を減らす対策、国家サイバーセキュリティに対する意識向上およびトレーニング、米政府サイバーセキュリティ強化策、米国家保安と国際サイバーセキュリティを協調させるプログラムなどの確立と管理。

 加えて、ほかの連邦政府機関とサイバーセキュリティ対策で協調し、民間セクターとの情報共有プロセスを開発することも任務となる。さらに、この新ポストに就く人物は、国家通信システムに関して国土安保省内で最高の権限を持つ。

 米国では先月、経済安全保障、インフラ保護、サイバーセキュリティに関する下院小委員会で、企業CEO主導の公共政策支援団体であるCyber Security Industry Alliance(CSIA)のエグゼクティブディレクター、ポール・カーツ氏が証言を行い、CSIAとBusiness Software Alliance(BSA)を代表してサイバーセキュリティ次官補職の新設に支持を表明した。

 カーツ氏はこう語っている。「情報インフラに関連した脅威や脆弱性が高まっている。われわれは情報インフラに頼っているが、誰がその安全と信頼性について調整の責任を負うのかがはっきりしていない。重要情報インフラを特定し、緊急連絡、不慮の事故対応、および回復のプランを練るという国土安保省の責務は誰もが認めるところだが、リーダーシップに対しては無関心だ」

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