IBMが描くSOAによるIT環境の未来像(2/3 ページ)

» 2005年05月23日 00時00分 公開
[梅田正隆,ITmedia]

IBMのビッグ・アーキテクチャ

 図をもとに解説すると、まず大きな区分けとして、ビジネス・サービス、アプリケーション・サービス、インフラストラクチャ・サービス、開発サービスの4つのサービスがある。これらを繋ぐ伝送路となるのがESB(エンタープライズサービスバス)だ。これが大まかな構造となる。

 次に、アプリケーション・サービスに着目すると、インタラクション・サービスなど4つのサービスが、アプリケーションの粒として存在する。インタラクション・サービスはユーザーが画面を操作して処理を行う対話サービス。ビジネス・ファンクション・サービスが個々のアプリケーション・レベルの粒度を持つサービス。プロセス・サービスがビジネス・ファンクション・サービスを組み合わせて、一連の業務処理を行うサービス。インフォメーション・サービスがデータ・アクセスのためのサービスとして位置づけられる。

これらのアプリレーション・サービス群は、サービス間で横方向に連携するのではなく、すべてのやり取りがESBを経由して行われる。

 一方、インフラストラクチャ・サービスを見ると、ユーティリティ・ビジネス・サービスは、認証やアカウンティングなどのサービスを提供する。サービス・レベル・オートメーション & オーケストレーションやリソース・バーチャライゼーション・サービスは、主にハードウェアが提供するサービスとなり、この部分をIBMではバーチャライゼーション・エンジンと呼ぶ。

 アプリケーションを実行した環境でリソースが不足した場合、ビジネス・パフォーマンス・マネジメントでESBを経由してサービス・レベル・オートメーションからログを呼び出し、リソース・バーチャライゼーション・サービスを利用してオーケストレーション(プロビジョニング)を実行する。

 開発サービスについて長島氏は「エディタやリンカを使った開発は現実的ではなく、もはやビジネス・モデリングから、プロセス・モデリング、コンポーネント・モデリング、オブジェクト開発、パッケージング、そしてアプリケーションサーバでの実行まで、一連の開発サービスをツールに入れる準備をしています」とモデリング環境の充実を強調した。ビジネスモデルの解析から実装・デプロイまでを開発サービスで行えるようにしていく考えだ。

 ユーザーは、インターラクション・サービスに直接リーチし、ESBを経由して呼び出されたさまざまなアプリケーション・サービスとやり取りする。グループ外の企業やビジネス・パートナーはESBとつな繋げることでアプリケーションが連携する。これがIBMの描くオンデマンド・ビジネスを支えるアーキテクチャだ。

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