SEに求められるITリサーチ能力ITR内山悟志の提言(2/3 ページ)

» 2005年05月26日 02時14分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

リサーチ力不足は致命的

 メーカー系ベンダーやソフトウェア・ベンダーの技術者は、自社製品のことは知っているが他社製品について知識が乏しく、最適とは言えない自社製品を闇雲に推奨したり、システム構築に無理に組み込んだりしようとするという指摘もある。

 ユーザーの課題を解決するために、最適なコンポーネントを組み合わせてシステムを提供することがシステムインテグレーターの使命だとすると、ITリサーチ能力の欠如は、致命的な問題といわざるをえない。

ITリサーチ能力を身につけるには

 もちろん人にもよるが、SEが技術動向や市場動向について何ら情報収集していないというわけではない。IT関連誌や業界紙を読むこともあるだろうし、最近では何よりもWebで膨大な情報が手に入る。個人のホームページやblogで、先進的な技術についての解説やディスカッションを参照することも容易にできる。

 また、直接的に業務で利用するかどうかは別として、さまざまな技術や製品について研修を受けたり、独学で学んだりしているSEも少なからず存在する。では、何故前述のようなユーザーの不満の声が聞かれるのだろうか。SEとても、次々に登場する新コンセプトや新技術のすべてを注意深くウオッチし、1つ1つ評価・検証している十分な時間はない。

 ユーザーの期待する製品選定や技術評価の際の良き相談役となるためには、どのような視点が必要となるのであろうか。製品や新しい技術の有用性を評価したり、顧客の要件に合致した製品を市場の中で見極めたりするためには、技術的な「目利き」の力が必要となる。「目利き」の力とは、単に情報や知識を豊富に持っているということだけでなく、異なる技術の関係や本質的な違い、新しい技術やコンセプトの革新性を見抜く洞察力があることが重要な要素となる。

 まずは、「技術は熱心に習得しているが個別の技術の習得に終わっていて、技術を構造的・体系的に捉えていないのではないか」「新たな技術やコンセプトが出てきた時、その位置づけや既存のものとの決定的な違いを理解できていないのではないか」ということを自問自答してみる必要がある。

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