SEに求められるITリサーチ能力ITR内山悟志の提言(1/3 ページ)

ITRアナリスト内山氏の寄稿の4回目。SEに求められるITリサーチ能力を掘り下げる。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年05月26日 02時14分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

  内山悟志 (アイ・ティ・アール代表取締役/アナリスト)

IT業界に属しているSEであるにもかかわらず、IT業界の動向や市場に出回っているパッケージ・ソフトやツールについて幅広く知識を持っているSEは思いのほか少ない。ユーザーの要件に合致した製品を市場の中から探してきたり、推奨する製品の市場における位置づけや優位性を他製品と比べて的確に示したりすることが求められている。ここでは、SEが持つべきITリサーチ能力について考察する。

求められる製品選定の相談役

 1990年代から、IT業界はマルチベンダー、オープンシステムの時代に入った。大手コンピュータ・ベンダーが、マシンから、OS、ミドルウェア、DBMS、アプリケーション、およびそれらに付帯する設計、開発、導入、保守にいたるすべてを1社で包括して提供するモデルは崩壊し、ユーザーは、さまざまなベンダーが提供する製品を選択的に導入し、それらを組み合わせてシステムを構築するようになった。それと同時に、これらのコンポーネントを組み合わせてシステムを構築するシステム・インテグレーション市場が確立していった。

 ユーザー企業のIT部門も、市場に存在するさまざまな製品を調査し、自社の要件に適合したものを選択しようと試みるが、矢継ぎ早に登場する新製品、著しい技術革新、M&Aを含むベンダーの栄枯盛衰、主流や業界標準の見極めの困難さといった理由から、外部の専門家としてシステムインテグレーターにこうしたITリサーチ機能を期待するようになっている。

 しかしながら、このようなユーザーのニーズに十分に応えることができているシステムインテグレーターは必ずしも多くない。ユーザーから頻繁に聞かれる不満として以下のような点が指摘されている。

  • 推奨する製品の競合製品のことを知らない
  • 主流や標準の行方についての洞察がない
  • 製品や技術に対する一般的な評価や評判を知らない
  • 提案する製品の位置づけが分かっていない
  • 顧客のニーズにあったパッケージやツールを見つけてくることができない
  • IT業界の動向や主要製品ベンダーの戦略を理解していない
  • 新規技術や最新のキーワードについて的確な説明ができない
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