Rational幹部が語る優先課題、悩み、MS

Rationalの新しいジェネラルマネジャーに就任したダニエル・サバー氏は、IBMによるGluecode買収が持つ意味、Microsoftとの競争についても語った。(IDG)

» 2005年05月26日 14時43分 公開
[IDG Japan]
IDG

 1974年にIBMで働き始めたダニエル・サバー氏は、最近ソフトウェア部門副社長から開発・テストツールを手がけるRational部門のジェネラルマネジャーに任命された。同氏は5月23日にラスベガスで開催のRational Software Development ConferenceでComputerworldのインタビューに応えた。

―― Rationalの新しいジェネラルマネジャーとして最も優先することは?

サバー氏 ビジネスを成長させ、Rationalのツールと方法論の世界の訴求力を高めることです――売上という純粋なビジネスの観点から、そして顧客という点の両方からです。これまでRationalは中核ソフト技術者にとって極めて便利なものでした。われわれはこの顧客層に忠実でいたいと思っています。ですが、もっと広範な開発者への訴求と、ソフト技術者とビジネスアナリストのつながりや、ソフト技術者と運用・デプロイ問題の関連を活用することにも着手したいと考えています。

―― 既存のツールに追加し続けることになるのでしょうか。それともパッケージングを見直して、コミュニティーのより多くの人々がもっと簡単に使えるよう、ツールポートフォリオをもっと小さく分解することを考えているのですか?

サバー氏 まだ決まっていません。

 私はLotusポートフォリオが備えているコラボレーション機能をもっと取り入れたいのです。ハイエンドとローエンドの開発者コミュニティー、そして各地に分散した開発者コミュニティーは、コラボレーション機能がもっと豊富になれば確かに恩恵を受けられるでしょう。

―― IT開発部門における現在の最大の悩みは? そうしたニーズに対応するためにどのように製品を作りますか?

サバー氏 プレッシャーを受けているのは投資回収率です。何年もの間、われわれはソフト技術者として、IT開発者として自身を切り離してきました。技術にフォーカスし、その技術をビジネスニーズに関連づける点では十分な仕事をしてきませんでした。企業が目指す場所へ橋渡しをし、既存のITシステムとの統合への障壁を低くする作業をもっと成功させるためのツールと機能を企業に提供することは、このような転換に不可欠です。

 分散型システムの登場により、開発者と生産・運用担当者の溝は広がってきています。20年前の運用の状況を見ると、今よりはるかに体系的で、導入環境も理解されていました。今日は、分散コンピューティングに関してほとんどの組織に混乱が見られます。これは埋めるべき溝です。生産の現場で何が起きているのか、サービスレベルの合意になぜ達しないのかを人々が理解しないという失敗はたくさん起きています。

―― IBMが最近オープンソースベンダーのGluecodeを買収したのには、ツールの観点から見てどんな意味がありますか?

サバー氏 Gluecodeの買収は、「オープンソースは浸透している」という印です。オープンソースはソフトが向かう場所が発展したものです。注目しなくてはならないものですし、われわれは注目していきます。

―― Microsoftが「Visual Studio 2005 Team System」でこれまでRationalの本拠だったチーム開発ツールに参入しようとしていますが。

サバー氏 競争は歓迎します。われわれは長い道のりを経てチーム、そしてモデルドリブン開発の側で成功しています。Microsoftがモデルドリブン設計を取り入れ、チームを取り込み、それをわれわれと同じだけの強力な、オープンな、あるいは広範なミドルウェアポートフォリオにマッピングする能力でわれわれに対抗できるとは思いません。戦いの場へようこそ。ここで何が起きているのか、それを見ていこうじゃありませんか。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ