「気の利く技術者」の条件(1/3 ページ)

「気の利く技術者」の条件とは何か(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年06月06日 05時29分 公開
[吉田育代,ITmedia]

 30歳で独立して、システム開発とシステム運用の一貫サービスを展開するインフォサイエンス株式会社を設立して10年。自らもシステムエンジニアとして約50名のエンジニアのトップに立つ代表取締役社長、宮紀雄氏は、社員を採用、雇用する中でさまざまな技術者を見てきた。

 「気の利く技術者」。「あなたにとって顧客満足度ナンバーワンSEの条件とは?」という問いに答えて、みだりにアルファベットの略語を使いたくないという宮氏はこう言った。

 気の利く技術者とは、宮氏によると顧客の本当のニーズを察する力を持つ技術者のことらしい。また、顧客と自社と自分の位置関係をはかりながら、その状況で最良の解を出せる技術者のことでもある。

まるで他人事?

 たとえば、高度なJavaプログラミングを含んだある開発案件で、プロジェクトが大幅に停滞していた。その理由をチームメンバーの一人に聞くと彼はこう答えた。

 「チームのプログラミング技術の習熟度が低いからです」

 まるで他人事のように達観していたという。

 「それは確かに原因かもしれませんが、そう言い放ったからといって問題は解決できません。何がなんでも高度なJavaプログラミングを使わなくてはいけないというわけではなくて、考えるべきことは“今このチームメンバーでプログラムの完成に向けてできることは何か”。気の利かない技術者は、そういう発想が根本から抜けています」と宮氏は話す。

 逆に、気の利く技術者の例を挙げよう。気の利く技術者は、顧客から要求仕様書を提示されても、「ではこれで見積ってきます」と簡単に言わない。なぜ顧客はそういう要求仕様書を出してきたのか、そのニーズの背景に横たわるものは何なのかを探る。

 たとえば「このシステムはJavaで組んでほしい」と言われたら、なぜ顧客はJavaを指定するのか、Javaで組めというオーダーの本心は何なのかを知ろうとする。つまり、物事の本質を突きとめようする気持ちがあるかどうかなのだ。もしかしたら、顧客の望むシステムをもっとシンプルに安価に構築する方法があるかもしれない、と考える技術者が気の利く技術者なのである。

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