コンタクトセンターが経営戦略の核へと成長する

コンタクトセンター向けソフトウェアを提供するGenesysは6月7日、日本における同社の最新の取り組みを伝えるイベント「G-Force Japan 2005」都内で開催した。

» 2005年06月09日 02時40分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 コンタクトセンター向けソフトウェアを提供するGenesysは6月7日、日本における同社の最新の取り組みを伝えるイベント「G-Force Japan 2005」都内で開催した。企業にとってインターネットという新たなチャネルが定着したことにより、コンタクトセンターに求められる質も変化しており、それに対応するソフトウェアも紹介された。 

 基調講演を務めたプロシードのカスタマーコンタクトサービスグループ、ゼネラルマネジャーの畑中伸介氏は、顧客満足(CS)経営を実践するために、コンタクトセンターの存在がますます重要と指摘。コンタクトセンターに課せられる要求として、「CSの向上、プロフィット化、マーケティングへの積極的な関与の3つが今後のテーマ」と話す。

畑中伸介氏

3つの命題に対応する

 CS向上を図るために、顧客満足度および不満足度の管理をするために影響因子を理解することが重要という。それを理解した上で、プロセスの設計、プロモーションの改善、流通改善、ユーザー環境の改善など、継続的な改善活動によって対応していく必要があるとしている。

 また、コンタクトセンター業務をより利益に結びつけるプロフィット化を進めるためには、たとえば、コンタクトセンターにおいて、高いCSレベルを確保することなどの取り組みが挙げられる。一方、営業機会の発見や購買前の販促支援など、潜む営業チャンスをモノにすることも求められるとしている。

 コンタクトセンターで蓄積したデータを活用することによって、新規顧客の獲得、既存顧客をロイヤルカスタマー化していくなど、マーケティングに積極的に活用することなども挙げられている。

 一方で、コールセンターにはマネジメントの概念が不可欠であることが課題の1つとして挙げられた。また、蓄積したデータをナレッジに高め、資産として管理していくことも重要としている。

 「コールセンターの現場には貴重な経営データが渦巻いている」(畑中氏)

Genesysが実現すること

 コンタクトセンターにおけるこうしたユーザー企業の要望を実現するべく、提供されているのがGenesysのコールセンター向けソフトウェアだ。

 この日、基調講演を務めたのはGenesysのCOO、ポール・セグーレ氏。2004年の業績について、ワールドワイドで20%、日本も14%という高い成長率だったと話す同氏は、同社の主力製品の1つ「Genesys Voice Platform(GVP)は世界で13%と一番のシェアを持っている」と話す。

GenesysのCOO、ポール・セグーレ氏

4つのテクノロジー

 同氏は、ビジネスにインパクトを与えるコンタクトセンター関連のテクノロジーとして、IP、セルフサービス、ルーティング、メジャメントツールの4つを挙げた。

 「コンタクトセンターはいまや、経営戦略のレベルまで重要度が高まっている」(同氏)

 IPを活用するIP Telephonyを活用することで、PBXやCTIなど、従来は複雑だったインフラ環境を簡素化することができる。具体的には、SIPH.323などの標準に対応したIP交換機を利用することにより、設備の統合とリソースの仮想化を進めることになる。

 また、セルフサービス機能は、いわゆる自動音声により、コンタクトセンターにおけるサービスの自動化を図るものだ。

 さらに、ルーティングは、顧客からのコールに対して、正しい知識を持つ人が対応するように振り分けることだ。そのために、ビジネスルールを含めたアプリケーション環境を統合するなどして、コンタクトセンターのIT環境を改善していくことになる。

 このような機能をソフトウェアベースで提供し、企業のコンタクトセンターの環境改善をサポートするのが、Genesysの役割となる。

売上高利益率60%の基盤

 この日は、Genesysのソフトウェアを活用したユーザー事例として、松井証券による講演も行われた。同社は、売上高利益率60%の基盤がサポートセンターにあったことを明らかにした。

 最も重要な事柄は、「お客さまの声を集めること」だという。常にそれをベースにして、新たなサービス提供に取り組むのが基本。

 その次に求められたのが、事業にかかるコストの削減だった。そのために、7月には、現状の半蔵門とは別に、札幌市に新たなサポートセンターが稼動、コールセンターのマルチサイト化を実現する。札幌市にした理由としては、人件費が低く抑えられること、自治体の助成金制度があったことを挙げた。

 システムとしては、半蔵門と札幌の両コールセンターにGenesys T-Serverが設置、半蔵門にはAvayaのPBXIVRが導入されている。

 その上で、顧客からの電話はすべて一度半蔵門で受ける。そこから状況に応じて、そのまま半蔵門で対応したり、札幌に転送したりすることになる。半蔵門と札幌間はVoIPでつないでいるため、通信コストを抑える仕組みになっている。

 売買代金が5年間で1000倍になったという同社。今後も、コンタクトセンターを核にして、顧客の声を経営に生かしていく考えだ。

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