SEの論理思考とビジネスの論理思考一歩先を行くSEの「頭の使い方」(4/5 ページ)

» 2005年06月16日 11時33分 公開
[山崎 将志(知識工房),ITmedia]

 3. 意見

 問いを設定したら、自分の意見を述べる。「遅れを挽回したいので、追加リソースがほしい」「もはや遅れの挽回は不可能なので、プロジェクト全体のスケジュールを見直す」などである。

 もしこの時点で、自分の意見がどうもしっくり来ないようであれば、論点(=問い)自体を見直したい。論点を見直しても、意見が変わらない場合には、その次の段階をチェックしたい。

 4.論拠

 次に、なぜそのような意見になるのか、論拠を述べねばならない。実は、この部分が論理的コミュニケーションに、最も重要な部分であり、根幹であると言ってもよい。

「追加リソースが欲しい」という意見に対して理由を述べるのであれば、

  • 明確な遅れの原因の提示(ライブラリが飛んだなど)
  • 前日のバックアップは取ってある
  • 最新版は、担当者のPCに保存されている
  • 差分の特定と入力に必要な工数が確保できれば、復旧可能といった根拠を示すのだ。

 納得の得やすい論拠には、以下2つの要件がある。

事実関係が明確なこと

 事実関係が曖昧だと、突っ込まれたときに対処できない。また、事実はできるだけ数字で示すことで、論拠の信頼性が増す。たとえば、データは○件、必要な工数は○人日、など可能な限り数字で示すべきである。

論拠に「抜けモレ」がないこと

 「どうも全体像が見えない」「自分の心配事について触れていない」と感じると、聞き手は直ちに話に疑いを持ち始める。議論になりそうなポイントについては、可能な限り網羅しておきたいものである。

 5.相手にとっての意味合い

 だれしも、自分と無関係な話には興味を持たないものである。本当に関係ないならよいが、一見関係ないように聞こえるが、実は大いに影響があるようなケースは、大きなトラブルに発展する可能性がある。

 先ほどのケースでも、もしクライアントに何らかのアクションをとってもらう必要があれば、それを明示しなければならない。「お宅で何とかする話でしょ」と受け取られ、実際にそれで済めばよいのだが、ユーザーテストのスケジュール変更などの影響がある場合は、きちんとお願いしなければならない。

 必ず相手に対する影響は、規模、良し悪しを問わず、必ず考慮しなければならないポイントである。

 以上、論理的コミュニケーションの5つの要素を簡単に説明した。これらのポイントは、あらゆるビジネス・コミュニケーションに有効である。

 「論理的」で「知的」なビジネスパーソンとして、周りの人からの信頼を一層高めるため、是非、チェックリスト的に活用していただきたい。

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