ほぼ64ビット化が完了したサーバ向けプロセッサIntelとAMDの64ビットプロセッサを整理する(1/3 ページ)

同特集では64ビット拡張プロセッサをサポートしたプロセッサの現状をセグメントごとに確認する。まずはサーバ向けプロセッサを見ていこう(特集:64ビットコンピューティング最前線)。

» 2005年07月08日 16時28分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

 広く普及しているx86プロセッサを64ビットへ拡張した最初のプロセッサであるAMDのOpteronプロセッサが出荷されたのは2003年4月のこと。その翌年の2004年2月に開催されたIDFで、Intelも同様の64ビット拡張を採用することを表明した。それから1年あまりが経過して、両社が発売するプロセッサのうち、IntelのモバイルPC向けを除けば、ほぼすべての分野で64ビット拡張を実装した製品が入手可能となった。また、2005年4月には64ビット拡張をサポートしたWindows Server 2003およびWindows XP x64版もリリースされ、ソフトウェア環境も一歩前進を遂げた。ここではセグメントごとに64ビット拡張プロセッサをサポートしたプロセッサの現状について確認していく。

x86の64ビット化で先行したAMD

 AMDがサーバ向けのOpteronを先行リリースしたことでも明らかなように、現時点で最も64ビット拡張アーキテクチャが普及しているのがサーバの分野だろう。2003年4月に発表されたOpteronプロセッサは、AMDの64ビット拡張アーキテクチャである「AMD64」に基づいた最初の製品だ。Opteronは1ウェイサーバ用の100シリーズ、2ウェイサーバ用の200シリーズ、8ウェイサーバ用の800シリーズの3シリーズがあり、いずれもメモリコントローラ機能を内蔵し、従来のFSBに代わりシステムインタフェースとして自社開発のHyper-Transportを採用する。通常版のTDP(熱設計電力)は80W〜100Wというところだが、ブレードサーバなど高密度実装を行うサーバ向けにTDPを55Wに抑えたHE(Highly Efficient:低消費電力)版、30Wに抑えたEE(Energy Efficient:超低消費電力)版も提供される。

 すべてのシリーズに共通する940ピンソケットを採用したOpteronプロセッサのメモリインタフェースは、デュアルチャネルのDDRメモリだ。対応するのはPC1600からPC3200のレジスタ付メモリで、最大で8本(チャネル当り4本)のDIMMを搭載することが可能だ。最高4GバイトのDIMMに対応できるが、実際に搭載可能なメモリ容量は、メモリバスクロックなどによって変動する。一概にはいえないが、プロセッサあたり16Gバイト程度は搭載可能なシステムが多く、64ビットプロセッサとして十分なメモリ容量を確保できる。

 2003年の発表時にリリースされたOpteronプロセッサは、130nmプロセスで量産されるSledge Hammer(開発コード名)と呼ばれるものだったが、2004年後半に90nmプロセスのものに更新された。Athens(800シリーズ)、Troy(200シリーズ)、Venus(100シリーズ)という開発コード名を持つこれらのプロセッサにより、最高動作周波数がそれまでの2.4GHzから2.6GHzへと引き上げられたが、基本的な機能に変わりはなく、完全なピン互換性が保たれている。

 Opteronの最新版はこの4月に発表されたばかりのデュアルコア搭載モデルだ。プロセッサダイ上の2つのコアをクロスバースイッチで接続するDirect Connect Architectureの採用で、コア間の通信、メモリアクセス、I/Oデバイスのアクセスについて、広帯域、低レーテンシを実現した。本稿執筆時点において発売されているのは8ウェイ対応の800シリーズ(開発コード名Egypt)、2ウェイ対応の200シリーズ(同Italy)のみ(クロックは1.8GHz〜2.2GHz)だが、100シリーズ(同Denmark)も2005年内にはリリースされる見込みだ。いずれもTDPを含め、既存のプラットフォームとのピン互換性を維持している(ただし、既存システムに搭載するにはBIOSアップデートが必要になる)。

 AMDのサーバ向けプロセッサはAthlon MPからスタートしたが、本格的な参入はこのOpteronからといっても過言ではない。そういう意味ではAMDのサーバ向けプロセッサは、すべて64ビット対応と考えてもいいように思う。

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