ほぼ64ビット化が完了したサーバ向けプロセッサIntelとAMDの64ビットプロセッサを整理する(2/3 ページ)

» 2005年07月08日 16時28分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

ItaniumとEM64Tの2本立てのIntel

 Intelにはx86プロセッサの拡張ではない64ビットアーキテクチャとしてIA-64があり、Itaniumプロセッサファミリとして2001年5月から発売されている。IA-64は、デスクトップPCなどで幅広く使われているIA-32とは互換性を持たない別のアーキテクチャだが、プロセッサダイ上にIA-32互換のハードウェアロジックを備えるほか、ソフトウェアによるIA-32エミュレーション(IA-32 EL)の提供も開始されており、既存のx86プロセッサ向け32ビットアプリケーションを動作させることができる。今後、IA-64によるIA-32互換性の提供は、このIA-32ELに重心が移っていくものと考えられる。

 IA-64は、Intelが次世代のサーバを意識して開発したアーキテクチャであったが、IA-32とハードウェア的な互換性を持たなかったことや、信頼性を重視するあまり、非常に高価なプロセッサになってしまったことなどが理由で、その普及はIntelの期待に及ばないものだった。現在では、IA-64の位置付けはメインフレームやRISCプロセッサを用いたハイエンドサーバの置き換え用プロセッサとなっており、当初の構想である「Intel製サーバ向けプロセッサの本流」よりは後退した格好となっている。

 メインストリームとなるIA-32プロセッサのロードマップも、もともとはこのIA-64との親和性を増す方向性で考えられていたハズだが、トランジスタ数の多い巨大なシングルコアプロセッサの実現が熱の問題で厳しくなる中、Intelは方向転換を余儀なくされた。その口火となったのが、冒頭で記した2004年2月のIDFであり、IA-32プロセッサに64ビット拡張を行うことを明らかにした。以降、Intelは比較的トランジスタ数の少ないコアを複数内蔵するマルチコア/メニーコア路線に転換することとなるが、現在は新しい路線に踏み出したばかりの段階というところだ。すでにサーバ向けにデュアルコアプロセッサをリリースしているAMDに対して、Intelのサーバ向けデュアルコアプロセッサは2006年初めのDempsey(開発コード名)からになる(IA-64については2005年後半にデュアルコアのMontecitoがリリースされる見込み)。

 64ビット拡張をサポートしたIntelのサーバ用プロセッサは、2ウェイサーバ向けのXeon(Xeon DP)、4ウェイサーバ向けのXeon MPの2つからなる。1ウェイサーバには、デスクトップPCに用いられるのと同じPentium 4プロセッサが用いられる(ローエンドについてはCeleronの採用例も見られる)。

 Intelの64ビット拡張技術であるEM64Tを最初にサポートしたプロセッサは、2004年6月にリリースされたXeon DPだ。開発コード名をNoconaと呼ぶこのプロセッサは、90nmプロセスで量産され、800MHzのFSBと1Mバイトの2次キャッシュを備えたNetBurstマイクロアーキテクチャのプロセッサである。ワークステーション用にはE7525(Tumwater)チップセット、サーバ用にはE7520(Lindenhurst)およびE7320(Lindenhurst VS)チップセットが用いられる。いずれもPCI Express対応で、DDR2 SDRAMをサポートしたチップセットだが、前者がグラフィックス用に16レーンのPCI Expressをサポートするのに対し、後者は8レーンのPCI Expressを3ポートサポートする、といった違いがある。最大メモリ搭載量はDDR2 SDRAM使用時で16Gバイトだ。

 このNoconaとソケット互換性を維持した上で、2次キャッシュ容量を2Mバイトに強化したのが2005年2月にリリースされた64ビットXeonプロセッサ(開発コード名Irwindale)だ。

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