64ビットへの移行が開始されたデスクトップPC向けプロセッサIntelとAMDの64ビットプロセッサを整理する(1/2 ページ)

64ビット拡張プロセッサをサポートしたプロセッサの現状をセグメントごとに確認していく同特集。サーバ向けプロセッサに続いてはデスクトップPC向けプロセッサを見ていこう(特集:64ビットコンピューティング最前線)。

» 2005年07月19日 16時32分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

バリューセグメントには64ビットプロセッサを投入しないAMD

 AMDのデスクトップPC向けプロセッサは、ハイエンド(ゲーマー)向けのAthlon 64 FX、メインストリーム向けのAthlon 64、バリュー向けのSempronのラインアップで構成されている。2005年6月には、ここにデュアルコアのAthlon 64 X2が加わった(関連記事参照)。いずれもAMD64アーキテクチャをベースにしたプロセッサである。Sempronは差別化のためか、あえて64ビット拡張モードを無効にしていたが、CeleronがEM64Tのサポートを開始したのに合わせて、64ビット拡張モードを有効にしたモデルの出荷を開始した。

 各プロセッサの違いは表のとおりだが、上位プロセッサと下位プロセッサの差別化ポイントが、キャッシュ容量であることが分かる。Scoket 754対応(シングルチャネルメモリ)のAthlon 64はフェードアウトしていき、キャッシュ容量と内蔵メモリコントローラのデュアルチャネル(Athlon 64、Socket 939)とシングルチャネル(Sempron、Socket 754)の違いが大きな差別化のポイントになるのかもしれない(ほかに現時点ではSempronのみSSE3に対応していない)。

●主要なAMDのデスクトップPC向けプロセッサ
  Athlon
64 FX
Athlon
64 X2
Athlon
64
Athlon
64
Sempron
*1
製造技術 130nm/
90nm
90nm 130nm/
90nm
130nm 130nm/
90nm
ソケット Socket 939 Socket 939 Socket 939 Socket 754 Socket 754
HT Speed 1GHz 1GHz 1GHz 800MHz 800MHz
コア数 シングル デュアル シングル シングル シングル
メモリ
コントローラ
デュアル
チャネル
デュアル
チャネル
デュアル
チャネル
シングル
チャネル
シングル
チャネル
論理
プロセッサ数
1 2 1 1 1
2次キャッシュ容量 1MB 1MB+
1MB
512KB/
1MB
512KB/
1MB
128KB/
256B
NXビット
サポート
あり あり あり あり あり
64ビット
モード
あり あり あり あり あり*2

*1 SempronにはほかにSocket A対応のものも存在するが、
今後Socket 754ベースに切り替わっていくものと思われる

*2 Socket 754に64ビットモードをサポートしたモデルが追加されている。ただし価格は若干高くなっている。

 さて6月27日に発表されたAthlon 64 FX-57により、AMDのラインナップも上から下まで製造プロセスが90nmに移行した(もっとも、130nmプロセスによるプロセッサがすべてなくなったわけではない)。ただし従来Athlon 64 FXとAthlon 64の間にあったクロックスピード以外の違い(主に2次キャッシュ容量の差)はAthlon 64 FX-57ではなくなり、Athlon 64 FX-57は最も高速なシングルコアのAthlon 64ということになっている(開発コード名も同じSan Diego)。Athlon 64には2次キャッシュ容量が半分のVeniceコアのプロセッサもあるが、違いは2次キャッシュ容量の違い(San Diegoは1Mバイト、Veniceは512Kバイト)だけだ。

 AMDのデスクトップPC向けデュアルコアプロセッサであるAthlon 64 X2も、Athlon 64同様2次キャッシュ容量の違いにより、コアあたり1MバイトのToledoコアと、512KバイトのManchesterコアの2種類が存在する。デュアルコアのOpteronプロセッサ同様、Direct Connect Architectureを採用しており、Intelのデュアルコアプロセッサより高性能だが、残念ながら価格も高く、ローエンドのAthlon 64 X2 Model 4200+の価格でさえ、Intelのメインストリーム向けデュアルコアプロセッサであるPentium Dプロセッサのハイエンドモデル(840)を上回る。現在、AMD製プロセッサを全量生産しているドイツ・ドレスデンの半導体製造工場「Fab 30」は200mmウエハを使用しているが、2005年内にもその隣接地に300mmウエハに対応した新工場(Fab 36)が開業する見込みであり、新工場によるコスト削減効果が期待されるところだ。

Athlon 64 X2の4モデル
Athlon 64 X2 コア クロック 2次キャッシュ
Model 4800+ Toledo 2.4GHz 1Mバイト+1Mバイト
Model 4600+ Manchester 2.4GHz 512Kバイト+512Kバイト
Model 4400+ Toledo 2.2GHz 1Mバイト+1Mバイト
Model 4200+ Manchester 2.2GHz 512Kバイト+512Kバイト
Fab36 AMDのドイツ・ドレスデンの半導体工場。現在の主力工場のFab30に隣接してFab36の建設が進んでいる。Fab36は、2005年内に稼働が開始される予定となっており、新工場による量産効果で、製造コストが削減することが期待されている
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ