楽天の一部店舗でカード決済が10日以降不能に、流出対策で「対象外」と通告特報(1/2 ページ)

楽天は、クレジットカード番号の流出事件を受けて「カード決済代行あんしんサービス」を開始する予定だが、一部の店舗はこの新サービスに移行できない模様だ。

» 2005年08月05日 21時44分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 クレジットカード番号の流出を受けて楽天が導入する予定の新しいカード決済代行サービスに、現在カード決済を行っている一部の店舗が移行できないことが8月4日分かった。

 店舗によっては8月10日以降、カード決済ができなくなる可能性が高い。楽天が新しいカード決済代行サービスの使用を店舗側に求めていて、それ以外のカード決済代行サービスを認めていないためだ。一部の店舗は楽天市場からの退店を検討し始めた。

 既報のように、楽天は店舗側にクレジットカード番号を知らせずにカード決済が利用できるカード決済代行サービス「R-Card Plus」への全店舗の移行を進めている(楽天の発表資料)。R-Card Plusはカード会社と楽天の包括加盟契約。ただ、移行には時間がかかるため暫定措置として、R-Card Plusの承認機能、売上処理機能を抜き出した「カード決済代行あんしんサービス」を8月11日に開始する。

 このあんしんサービス、R-Card Plusへの移行で困っているのは、個別にカード会社と加盟店契約をせずに、ヤマトフィナンシャルの「クロネコ@ペイメント」、ネットプロテクションズの「NPカードサービス」などカード決済代行サービスを使っている店舗だ。代行サービスは、カード会社とサービス提供会社が包括加盟契約を結び、提供する。店舗は審査を受けるが、個別のカード会社とは加盟店契約を結ばない。

 しかし、あんしんサービスは現在、個別にカード会社と加盟店契約を行っている店舗だけが利用できるサービス。クロネコ@ペイメントなど包括加盟契約のカード決済代行サービスを使っている店舗は対象外。そのため8月10日以降は、ショッピングページの支払方法選択からクレジットカード項目が消え、カード決済が利用できなくなる可能性が高い。

 8月2日に店舗に送信した電子メールで楽天は、「あんしんサービスまたはR-Card Plusのいずれかをお申込みいただいていない店舗様におかれましては、下記日時(8月10日10時)をもって決済方法からクレジットカード決済を削除させていただきます」と記載。

 さらに「あんしんサービスのご利用にあたっては、カード会社の直接加盟店契約(インターネット通販用)の締結をされていることが条件となります。現在、クロネコ@ペイメント、ネットプロテクションなどの他の包括加盟カード決済代行サービスをご利用中の店舗様は、対象外となります」としている。

売り上げ急減を覚悟、「まさに死活問題」

 数年前に出店したある中堅通販店舗は、クロネコ@ペイメントを利用している。利用できるクレジットカードが11種類と多く、最短5日で入金されるなどサービスを評価した。特にヤマト運輸と連携しているため、配送がスムーズに行える点が便利だったという。月間の売り上げは1000万円を超え、そのうちクロネコ@ペイメントを使ったカード決済は約8割だった。

 しかし、8月10日以降は楽天市場でカード決済が利用できなくなるため、売り上げの急減が予想される。店長は「まさに死活問題だ」と憤る。

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