デュアルコアだけで終わらないAMDのOpteron強化作戦

Opteronプロセッサの機能強化はデュアルコア化だけで終わらない。AMDは今後、RAS機能の追加によってIntelとの競争を制していく方針だ。

» 2005年08月08日 19時06分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 カリフォルニア州サニーベールを本拠とするAdvanced Micro Devices(AMD)は、自社のチップを搭載したサーバの可用性をさらに高める考えだ。同社では、将来のOpteronプロセッサに機能を追加するとともに、サーバ内でOpteronと連携して動作する主要コンポーネントを追加する作業を進めており、これによりOpteronサーバの信頼性と安定性が改善されるとしている。

 最近、Opteronプロセッサシリーズをデュアルコア化したAMDでは、いわゆるRAS(Reliability、Availability、Serviceability:信頼性、可用性、整備性)機能の追加は、重要な前進となるものだとしている。

 AMDがOpteronにRAS機能を追加するのは、ライバルのIntelとの競争力を維持するのが狙い。AMDでは、これらの追加機能により、企業市場におけるOpteronに対する評価も高まるものと期待している。

 AMDの商用ビジネス担当副社長、ケビン・ノックス氏は、Ziff Davis Internet Newsの取材で、「デュアルコアは当社にとって重要な発表だった。しかし、今後も新機能の追加を続ける必要がある。競争しなければならないからだ」と述べている。

 新しいサーバ用プロセッサのリリースは、デスクトップやノートPC用のプロセッサと比べるとそれほど頻繁ではなく、また、このころ、AMDおよびIntelの両社の新チップの投入ペースが鈍化していることもあり、AMDでは「付加価値を提供できる分野へのフォーカスを強めている」とノックス氏は話す。

 「われわれが目標としているのは、サーバ全般の信頼性、可用性、整備性を改善することだ。プロセッサアーキテクチャの信頼性を高めることに全力を尽くす方針であり、これはサーバの信頼性の向上にもつながる」(ノックス氏)

 こういった新機能の1つとして既に提供されたのが、ECC(エラー訂正コード付き)メモリのサポートである。AMDは先週、シングルプロセッササーバ向けの「Opteron 100」シリーズは現在、メモリを通過するデータに誤りがないかチェックするUnbuffered ECCメモリをサポートしていると発表した。

ノックス氏によると、AMDは今後もOpteronのアップデートを続け、向こう2年間でRAS機能を強化する計画だ。また、ハードウェアの仮想化技術も導入するという。ハードウェアの仮想化は、サーバを複数のパーティションに分割し、異なる種類のソフトウェアを同時に実行するための技術。AMDは来年、仮想化技術をOpteronに追加する予定だ、と同氏は話す。

サーバ市場での地歩固め

 こういった機能強化は、Intelのプロセッサに対抗するだけでなく、標準のx86サーバをさらに強力なものにして、企業市場での人気拡大につなげるという役割も果たす、とノックス氏は説明する。企業の間でx86サーバの人気が高まれば、AMDにとって市場が拡大することにもなるという。

 デュアルコアや64ビットアドレッシング、仮想化といった機能は、低価格の標準的なマシンがハイエンド市場に進み、「伝統的にUNIXサーバが支配してきた世界に素早く食い込む」ことを可能にする、とノックス氏は話す。

 ノックス氏によると、AMD Opteron搭載サーバはこのところ、Intelベースのハードウェアだけでなく、IBMのPowerプロセッサをベースとするIBMのUNIXマシンや、Sun MicrosystemsのUltraSPARCプロセッサを搭載したサーバと競合しているという。なおIBMSunは、Opteronサーバも提供している。

 「コスト面での優位性があるため、AMD/LinuxインプリメンテーションがUNIXを置き換えるケースが多数見受けられる」(同氏)

 4〜6月期にはOpteronプロセッサの出荷シェアが拡大し、四半期ベースとしては初めて、x86サーバプロセッサの市場で10%を超えた。

 x86市場全体では、AMDは同四半期、Intelにシェアを奪われた。しかしサーバ市場はこれまで長い間Intelが支配してきたことを考えれば、AMDのサーバプロセッサの出荷シェア拡大は同社にとって勝利だとみられた。

 4〜6月期にサーバ分野で前進したAMDだが、将来、ライバルのIntelとの厳しい競争が待ち受けている。Intelは、デュアルコアのXeonサーバプロセッサの第1世代の開発を開始した。

 Dellは、新しいXeonの登場を心待ちにしている。Dellによると、新Xeonは同社がハイエンドのUNIXサーバとの競争にも勝つことを可能にするという。

 AMDは今後、サーバ市場にさらに進出すべく、RAS機能などを追加する方針だという。同社は、Opteronを垂直市場で推進するための新プログラムも立ち上げた。

 このプログラムはまだ始まったばかりだが、金融サービス、石油、ガス、運輸、通信などの業界をターゲットとしている。ノックス氏によると、AMDでは、各業界固有の問題に対処するために、ソフトウェアデベロッパー各社との共同作業を開始したという。

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