IBMがグリッドコンピューティングの「スターターパック」を提供LinuxWorld

IBMはサンフランシスコで開催中のLinuxWorldで、ソフトとハード、サービスをパッケージ化したグリッドコンピューティングの「スターターパック」を発表した。

» 2005年08月09日 18時21分 公開
[IDG Japan]
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 IBMは8月8日、サンフランシスコで開催されたLinuxWorldで、ソフトウェアとハードウェアとサービスをバンドルした「Grid and Grow」を披露した。同社幹部によると、この製品はグリッドコンピューティングを導入したいと考えている中堅企業や大企業にとって「スターターパック」としての役割を果たすという。

 IBMでグリッドコンピューティングを担当するアル・バンシャフト副社長は、「コンピューティング処理能力の限界を感じている顧客の間では、既存のコンピューティング環境を全面的に刷新しなくても処理能力を拡大できる手法として、グリッドコンピューティングへの関心が高まっている」と話している。

 「LinuxWorldを発表の場として選んだのは、グリッド技術の発展と、主要OSとしてLinuxを選択する顧客の間には非常に密接な関係があるからだ」(バンシャフト氏)

 バンシャフト氏によると、一部の企業は既にグリッドコンピューティングを採用しているが、複雑そうだという理由で導入を見合わせている企業もあるという。

 「Grid and Growは、グリッド技術を導入するための非常に分かりやすい入り口だ。これは最初の重要なビルディングブロックであり、企業がグリッド環境を導入し、そこから大きな価値を引き出すことを可能にする」(同氏)

 同氏によると、Grid and Growは、IBMの「eServer BladeCenter」ブレードをベースとし、ユーザーは3種類のプロセッサの中から選択することができるという。用意されるシステムは、Intelプロセッサベースの「eServer BladeCenter HS20」、IBM Powerプロセッサをベースとする「JS20 BladeCenter」、そしてAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronチップを搭載する「LS20」である。

 標準構成のGrid and Growには、7基のIntelベースのブレードを組み込んだ1台のBladeCenterシャーシが含まれる。バンシャフト氏によると、これまでのIBMの経験によると、大半の顧客がこの構成からスタートするからだという。このバンドルは拡張可能で、追加購入することによって、14基のブレードを組み込んだ最大構成のBladeCenterを実現できるという。

 BladeCenterには、IBMの管理ソフトウェア「Director」が付属する。IBMの「Tivoli」システム管理ソフトウェアの一部機能もバンドルに含まれ、ダイナミックサーバパーティショニング、ソフトウェアライセンス管理、グリッドストレージ管理などの機能を利用できる。

 バンシャフト氏によると、バンドルを購入したユーザーは、コンピュータリソース管理用のスケジューリングソフトウェアとして、IBMの「LoadLeveler」、Altairの「PBS Professional」、DataSynapseの「GridServer」、Platformの「LSF」のいずれかを選ぶことができる。どれを選択すべきかは、ユーザーが予定しているワークロードのタイプおよびユーザーの業種によって異なるという。

 OSには、Red HatまたはNovellのLinux、MicrosoftのWindows、IBMのUNIX OSである「AIX 5L」の中から選択することができる。

 IBM Global Servicesから提供されるバンドルサービスには、グリッドスケジューラのインストール、調整、テスト、ユーザーのトレーニングなどが含まれる。

 標準構成のGrid and Growバンドルの価格は4万9000ドルから。当初、このバンドルは北米・中南米で販売されるが、年内には欧州およびアジア太平洋地域でも販売を開始する予定だという。

 バンシャフト氏によると、金融業界や製造業界ではグリッド技術をいち早く導入しているが、通信分野やデジタルメディア企業もそれに続こうとしており、既に同技術に強い関心を示しているという。

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