GoogleとMicrosoftの代理戦争がLinuxWorldで発生、勝者は?

LinuxWorldで恒例となった「Golden Penguin Bowl」。今回の同イベントではGoogleとMicrosoftが意地とプライドをぶつけ合った。その勝敗は?

» 2005年08月11日 12時38分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 LinuxWorldに足を運び、「LinuxWorldもビジネス色が濃いものになったな」とお思いの方がもしいるのなら、ホテルに引き上げる時間をもう少し遅らせたほうがよい。夕方になると、それまでのビジネス臭は消え、LinuxWorld Expo恒例の「Golden Penguin Bowl」を見るべく、どこからともなく現れるラフな格好の人間で占められることになるからだ。

 このGolden Penguin Bowlは、ギーク(Geeks)チームとナード(Nerds)チームに分かれ、Linuxの話題にとどまらない広範で「マニアックな」問題にどちらが多く答えられるかを競うイベント。勝利チームにはGolden Penguin杯が進呈されるほか、「勝利を自慢をする権利」も与えられるという。

Golden Penguin杯はどちらのチームに?
アリソン氏

 記者が数分遅れで会場に入ると、そこにはハイテンションで会場を盛り上げている異形の姿があった。この男は昨年のGolden Penguin Bowlでも司会を務めたジェレミー・アリソン氏(Sambaの開発者)だ。同氏のコールで壇上に先に上がったのはギークチーム。そのメンバーは、Googleでオープンソース関連の仕事に従事するChris DiBona氏およびMarc Merlin氏に加え、MySQL ABのアーキテクチャ・ディレクターであるBrian Aker氏の3名。

 そしてナードチームが壇上に上がる段になると、会場にはダースベイダーのテーマが流れ始める。ブーイングに迎えられて登場したのは、何とダースベイダーとストームトルーパー2体。フォース(?)の力でアリソン氏を苦しめるなど悪役そのもののこのチームは、Microsoftのプラットフォーム戦略主幹プログラムマネージャーのビル・ヒフ(Bill Hilf)氏のほか、同じくMicrosoftのRob Mensching氏、Waggener EdstromのRob Curran氏の3名だった。なお、ジャッジはSAMBAの開発チームでLDAP関連の著書も多いジェラルド・カーター(Gerald Carter)氏やアンドリュー・トリジェル氏、デリック・ホッジ(Deryck Hodge)氏が務めていた。

Linuxに現れたダースベイダーたち。その正体はクリックで確認できる

 かくして、GoogleとMicrosoftの代理戦争の幕が切って落とされた。

想定外の質問……か?

 全3ラウンドで構成される今回のGolden Penguin Bowl。第1ラウンドはこうした場に参加したMicrosoftに敬意を表したのか、こんな問題で幕を開けた。

Q1 このセクシーなCEOは何を広告している?

 いきなりのGolden Penguin Bowlらしい質問に会場は大爆笑。素早くボタンを押し回答権を得たナードチームだが、Windows 1.0と答えると誰しもが思う中、何と間違えてしまう。続けての質問であるWindows 1.0がリリースされた年(1985年)も間違え、2問連続で失態を犯してしまう。観客は大喜びだ。

 1995年に公開されたキアヌ・リーブス主演(ビートたけしも出演)のJohnny Mnemonic(JM)で、ジョニーのニーモニックは何Gバイト? といった問題もナードチームはボタンは押すものの正解することができない。一方、ギークチームは、「PowerPCのロードマップはすばらしいと発言したCEOは?」といったものやDebianの語源を訪ねる質問に確実に答えることで得点を重ねていく。どちらのチームも分からないような問題も、アリソン氏が観客に問いかけるとどこかしらかで正解を言い当てる人間が必ずいた。

 そして恒例となったStar Trekに関する質問や引っかけ問題などを続けた結果、第1ラウンド終了時には2000点以上の点差でギークチームが優位に立っていた。

 しかし、第2ラウンドではナードチームも意地を見せ追い上げを開始する。「SANとNASの違いを説明せよ」という質問では、単語をかみ砕いただけのヒフ氏の回答に観客も司会も満足しなかった。ならばとブロック・レベルのアクセスの違いについて細かく説明したところ、会場から拍手が巻き起こった。

 その後もMicrosoftがこれまでに訴訟に費やした金額はいかほどか、といった質問(答えはカンボジアのGDPとほぼ同額)や、Microsoftの地図サービス「MSN Virtual Earth」の航空写真でその存在が消えている企業はどこか? といった質問(関連記事参照)を交えながらショーは進んでいく。しかし点差は縮まらない。

 そして最後のラウンドでは、UNIXまたはPOSIX互換のシステムを挙げよというもので、両チームが90秒の時間制限の中で思いついたものから次々に紙に書き殴っていった。ジャッジの確認した結果、ギークチームが21種類、ナードチームが17種類を正解させ、今回のGolden Penguin杯はギークチームの手に渡った。

ギークチームの回答

 結果的にはギークチームの圧勝ではあったが、アリソン氏とその場にいたすべての観客がナードチームとして参加した3名に惜しみない拍手を送った。

質問の1例。左が質問、右が正解。
幾つ答えられるだろうか? いずれもクリックで拡大

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