IntelがデュアルコアのPentium 4を急いだ訳は?(1/2 ページ)

Hot ChipsカンファレンスでIntelのプリンシパルエンジニアが、同社初となったデュアルコア、「Smithfield」の開発が、AMDに対抗するための突貫工事だったことを明かした。(IDG)

» 2005年08月19日 15時35分 公開
[IDG Japan]
IDG

 8月16日、パロアルトのスタンフォード大学で行われた「Hot Chips」カンファレンスでIntelのエンジニアが参加者に話したところによると、Intelの最初のデュアルコアチップは、ライバルであるAdvanced Micro Devices(AMD)を出し抜くため、急ごしらえのデザインだったという。

 シングルコアプロセッサが壁にぶつかっているとの認識から、Intelのエンジニアたちは2004年、大急ぎでデュアルコアのSmithfieldのデザインに取り掛かった。しかし、彼らは市場にチップを送り出すまでに数多くの試練に直面したとジョナサン・ダグラス氏は話した。彼はデジタルエンタープライズグループのプリンシパルエンジニア。同グループは企業向けのデスクトップやサーバ向けのプロセッサを開発している。

 「可能な限り高性能のプロセッサを開発することにフォーカスしていたデザインチームをマルチコアデザインにフォーカスしたチームへと変えていく中で多くの課題に直面した」と、ダグラス氏はデスクトップ向けのPentium D 800シリーズや、まもなく登場するPaxvilleサーバプロセッサのプレゼンテーションで話した。どちらもSmithfieldコアがベースとなっている。

バス、テスト、パッケージ……課題山積

 Intelはデュアルコアチップのための新しいメモリバスのデザインを間に合わせることができなかった。そこで同社は従来型のPentium 4で使われてきたバス構造をそのまま使ったという。このバスは、2つのシングルコアプロセッサをサポートする能力があったものの、Paxvilleで登場する2つの独立したバスやAMDの統合されたメモリコントローラーほど効率の良いものではなかった。ここで言うメモリバス、Intelのチップで言うとフロントサイドバスは、プロセッサとメモリを接続するためのものだ。

 同社のテストツールやテストプロセスもすべてシングルコアチップ向けに用意されたものだったとダグラス氏は話す。このことは、2つのコア間の接続を測定できるデュアルコアチップ用のテスト手法を同社がすぐにでも考え出さなければならないことを意味していた。

 さらに、2つのコアを収めるPentium Dの新しいパッケージもデザインしなければならなかった。

 「われわれは2つのコアを1つのパッケージに押し込めようとしている。それはまるで大学時代のズボンをはこうとするようなものだ」とダグラス氏。

 Intelは単一のパッケージに2つのシリコンを収めるパッケージをデザインすることにした。それは、将来のデスクトップ向けチップ、Preslerで使われるデザインと同じだが、それは単にSmithfield用を同時にデザインする時間がなかったに過ぎなかったという。

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