数年後の情報家電分野で活躍できるITアーキテクトを育成

国立情報学研究所(NII)は9月、世界トップレベルのソフトウェアエンジニア養成を目的とした教育プログラム「サイエンスによる知的ものづくり教育」を開講する。

» 2005年08月24日 23時10分 公開
[谷古宇浩司,@IT]

 国立情報学研究所(NII)は8月24日、世界トップレベルのソフトウェアエンジニアを養成する新教育プログラム「サイエンスによる知的ものづくり教育」を9月に開講すると発表した。ソフトウェア開発プロジェクトにおける技術リーダーやITSSにおけるITアーキテクトのような役割を担う「エース級」のエンジニア育成を目指す。

 重点分野は情報家電におけるソフトウェア開発。「要求分析」「形式仕様記述」「設計モデル検証」「コンポーネントベース開発」「アジャイル開発」などカリキュラム内容はソフトウェア開発の上流に重き、オープンソースのツールや世界標準の開発手法を活用した実践的な教育プログラムを展開する。このような実践的な教育講座は「世界に類を見ない」と国立情報学研究所教授の本位田真一氏はいう。

本位田氏 国立情報学研究所教授の本位田真一氏

 同講座は2004年度文部科学省科学技術振興調整費(5年間で総額5億円)により、NIIが民間企業の協力を得て開発、実施する。現在、NTTデータ、東芝、日本電気、日立製作所、富士通研究所の5社がカリキュラム作成などで参加をしている。

 同講座の特徴は、研究機関におけるソフトウェア工学の成果と企業の開発現場における実践ノウハウを融合させている点。開発ツールや開発手法の実開発案件への適用ノウハウを教材化した。

 教材は教科書として出版するほか、国内の大学や企業に無料で配布する予定。現在、10〜20人程度の枠で第1期生を募集中。大学や大学院などの高等教育機関でソフトウェア科学にかかわる授業を10講座以上習得している学生や、数年の企業経験を持つ20代後半の若手エンジニアを受講生として想定している。

 情報家電分野は近い将来、ネットワークと接続したサービスが本格的に展開すると見込まれている。その際、情報家電向けソフトウェアの開発工程は、現在の携帯電話や組み込み機器における開発工程に加え、エンタープライズシステムの開発ノウハウをも取り入れたものになると予測されている。ソフトウェアの高度なセキュリティ性能や信頼性、開発効率の向上が求められる状況において、日本のソフトウェア開発現場は、労働集約型といわれる現状を知識集約型に変えるという必要性に迫られているといえる。

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