大事なデータを分割して守る「電子割符」で情報漏えい対策、GFIら3社による新会社

GFIと日立製作所、アイ・オー・データ機器の3社は、電子割符関連ビジネスの拡大を目的とした合弁会社「GFIビジネス」を設立した。

» 2005年08月27日 02時50分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 グローバルフレンドシップ(GFI)と日立製作所、アイ・オー・データ機器の3社は8月26日、秘密分散法を利用して安全にデータのやり取りを実現する「電子割符」関連製品のビジネス拡大を目的に、合弁会社「GFIビジネス」を設立した。第一弾の製品として、「Q-セキュリティシリーズ 電子割符セキュアプリセット」3製品を10月1日より販売する。

 GFIはこれまで、アイ・オー・データ機器と提携し、電子割符技術を活用したセキュリティ製品の提供に取り組んできた。今回日立製作所の協力を得て合弁会社を設立することにより、グローバルな展開も含め、電子割符を活用したセキュリティビジネスの拡大を図るという。GFIビジネスの出資比率はGFIが55%、日立製作所が35%、アイ・オー・データが10%。

 GFIビジネスが事業の軸に据える電子割符とは、重要なデータを複数に分割した上で暗号化することで、情報漏えいのリスクを減らす仕組みだ。元のデータを復元するには、すべて、あるいは2つ以上のデータ断片(=割符)をそろえる必要がある。逆に言えば、どれか1つの割符が漏えいしたり盗難に遭ったとしても、元のデータを復元することはできない。

 GFI代表取締役社長にしてGFIビジネスの代表に就任した保倉豊氏はこの仕組みを、複数の珠が集まってはじめて用をなす漫画の「ドラゴンボール」のようなものだとたとえた。これにより、情報の外部への持ち出し/共有を実現しながら、漏えいを防ぐことができるという。

 GFIビジネスでは、この電子割符の仕組みを応用したセキュリティシステムとして、Q-セキュリティシリーズ3製品を販売していく。最大20クライアントにまで対応する専用の「プリセットサーバ」とデータの分割/暗号化を行うソフトウェアを搭載した専用USBメモリから構成されており、PC側に専用ソフトウェアなどを導入する必要はない。

プリセットサーバ Q-セキュリティシリーズの専用サーバ。障害に備え、HDDを二重化してミラーリングしている

 同シリーズでは、用途に応じて割符を専用サーバと専用USBメモリ、PC本体に分けて保存する。

 たとえば、重要なデータを外出先に持ち出したいという用途のための「Q-預り」では、分割したデータをプリセットサーバと専用USBメモリ、PC本体にそれぞれ保存する。外出先には専用USBメモリを持っていき、データが必要になったときにはネットワーク経由でプリセットサーバにアクセスして情報を復元する仕組みだ。これにより、USBメモリによる手軽な情報持ち出しと漏えい防止を両立できるという。価格は、専用USBメモリ10個を含んで157万5000円から。

 ほかに、2台のプリセットサーバを利用することで、特定ユーザーのみに情報の復元を許可する「Q-公開」、重要なデータの確実な保存を実現する「Q-保管」という製品が用意されている。これらの価格は262万5000円から。

 既にいくつかのベンダーやサービスプロバイダーが、個人情報保護法対策の一環として、秘密分散法/電子割符を用いて情報漏えいを防ぐ製品やサービスを提供済みだ。これら競合製品に対しQ-セキュリティシリーズは、「簡単に導入し、すぐに利用できること」「アルゴリズムをはじめすべての技術を100%GFIで開発しており、さまざまな顧客の要望に応えられること」に特徴があるという。

 GFIビジネスでは2007年度までの3年間で、Q-セキュリティシリーズ1500セット、60億円の売り上げを目指す。将来的には組み込み型やスタンドアロン型の製品を提供していく計画という。

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