電子メールもFAXもDBで一元管理――オラクルがCollaboration Suite 10g発表

日本オラクルはOracle Collaboration Suite 10gを9月21日から販売すると発表した

» 2005年08月30日 22時27分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは8月30日、企業における電子メールや掲示板、スケジューラ、Web会議などの機能を一元的に提供するOracle Collaboration Suite 10gを9月21日から販売すると発表した。データベース(DB)を基盤に、その上のApplication Server上で稼働する同社のミドルウェアであるOracle Collaboration Suite 10gを構成するアプリケーションの1つという位置づけになる。

 冒頭、来日した米Oracleのプロダクトマネジメント担当シニアディレクター、リッチ・バッカイム氏は、1月26日のアナリスト向けのイベントでのラリー・エリソン氏の発言を引用しながら、非構造化データを管理することの重要さについて触れた。

 「データベース会社がコンテンツ管理の分野に注力することはとても重要だと考えています。データベースから探し出せると思われている情報だけでなく、すべての情報を追跡できるのです」(ラリー・エリソン氏)

 新製品は大きく分けて、フォルダおよびファイルレベルのアクセス管理や自動バージョニングなどを特徴とする「コンテンツ管理」、電子メールやボイスメール、FAXなど企業内のメッセージすべてを一元管理する「メッセージ管理」、1つのデスクトップを複数のPCから共有、制御できることなどを特徴とする「リアルタイムコラボレーション」の3つの機能で構成される。

 最大の特徴は、メール、スケジューラ、掲示板、Web会議、FAX、ボイスメール、メッセンジャー、文書などの非構造化データをデータベースとひもづけて一元的に管理できること。通常、リレーショナルデータベースで扱えるデータは、企業が持つすべてのデータの2割程度とも言われている。残りの8割は非構造化データで構成されているが、これまでそれを効率的に管理する方法がなかったのが実情だった。

 たとえば、営業に関する重要なデータがExcelベースで管理され、そのファイルをさまざまな人がコピーして参照する状況は実際のところはそれほど珍しくない。しかし、これでは、社員が参照するデータの正確性をだれも保証していないだけでなく、重要なデータが流出するリスクも高くなる。

 日本オラクルの執行役員で、システム事業推進本部長を務める三澤智光氏は、「非構造化データをOracle DBにコミットした形で管理できること」が画期的であるとアピールする。データの正確性やセキュリティ向上を促せるだけでなく、ナレッジの共有や再利用の促進、運用コスト削減などの効果も見込むことができるという。

今年度5億円、次年度は15億円の売り上げを見込むと話す三澤氏。

 さらに、Oracle DBで管理することによって、可用性と拡張性といったシステム的なメリットも享受できる点も注目できる。その基盤となる技術がRAC(Real Applicaion Clusters)だ。

 一般に、メールサーバなどはユーザーと1対1で結びついており、該当するサーバが停止すればユーザーはメールを利用できなくなる。しかし、「メールが止まればほとんどの業務が停止してしまう。いまやメールはミッションクリティカルなシステム」と強調する同社は、メールサーバをRAC構成で運用することによって、1台のサーバが停止しても他のサーバが引き継いで運用を継続できることをアピールしている。

 また、処理データが増加した場合にも、RACを構成するサーバ数を随時追加するだけで対応できる点を拡張性の高さとして説明した。

 一方、1ユーザーあたりのライセンス価格は7500円と設定されており、コンテンツ管理システムやポータル、グループウェアなどの他社製品をバラバラに購入して同様のシステムを構築した場合と比較して、製品購入コスト、導入コスト、運用管理コストの3つの面からも価格メリットがあることも併せて強調している。

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