ユーザーの細かい要求にも対応する「Oracle Database 10g Release 2」

日本オラクルは、主力製品であるOracle Databaseの最新版「Oracle Database 10g Release 2」の製品発表会を都内で開催した。

» 2005年09月05日 21時00分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは9月5日、主力製品であるOracle Databaseの最新版「Oracle Database 10g Release 2」の製品説明会を都内で開催した。データ基盤として、拡張性や性能の全体的な底上げが図られている。執行役員でシステム事業推進本部長を務める三澤智光氏は、初期導入、インテグレーション、運用管理の「3つのコスト削減」「標準化の推進」「企業コンプライアンスへの対応」を、日本オラクルが実現したいことの3つの柱として紹介。新製品もこのコンセプトに沿って開発したことを強調した。

 また、NECが運営するインターネットサービス「BIGLOBE」の運営の効率化を図るために、Oracle Database 10g Release 2が採用されたことが同日、併せて明らかにされている。

 新製品は、すべてのアプリケーションの統合データ基盤として位置づけられている。具体的には、エンタープライズアーキテクチャ(EA)、ビジネスインテリジェンス(BI)、SOA(サービス指向アーキテクチャ)、セキュリティなどの機能が、データベース上にアプリケーションとして実装されることを想定しているという。

 この中で、特にクローズアップされたのがプロビジョニング機能だ。RAC(Real Aplication Clusters)をベースにしたクラスタリング環境において、たとえば、パフォーマンスの悪化を改善するためにサーバを追加する場合、従来のバージョンでは、サーバを停止して、CDをインストールし、管理者が詳細の設定を行う必要があった。

 新製品では、システムを止めることなく、最大10サイトのサーバ追加を少ない作業で完了できるという。RACのインスタンス追加や、シングルサーバ環境からRAC構成への移行、さらに、OSが導入されていないサーバに丸ごと環境をインストールするベアメタルプロビジョニングも可能。これらの作業は、従来は40分ほどかかっていたが、今リリースにより、5分程度でできるようになったと日本オラクルはアピールしている。

 また、サイトやホスト、ネットワークなどの障害時に、本番環境からスタンバイ環境に運用サーバを切り替える自動フェールオーバーの機能も追加された。

データマイニング機能の追加

 一方、BI関連の機能では、データウェアハウスのパフォーマンスがソート時に10倍、集計時に3倍に向上したとしてアピールされた。さらに、蓄積した大量のデータの中から顧客の購入パターンなど、隠れた法則を発見するデータマイニングの機能が、「Oracle Data Mining 10g」として追加されている。なお、この日は、日本オラクルと、データマイニングソフトウェア大手のSPSSが協業することも発表された。これにより、SPSSのClementine 9.0からOracle Data Mining 10gを呼び出すことが可能になる。

暗号化の強化

 また、セキュリティ機能を提供するOracle Database 10g for Securityでは、情報漏えいリスクを低減することにって、ユーザー企業のコンプライアンスへの要求を満たそうとしている。

 具体的には、暗号化の機能が強化された。データベースに格納されている情報の暗号化については、「Transparent Data Encryption(TDE)」、すなわち、透過的に格納データの暗号化を施すことができる。たとえば、表を定義する際に、列単位で暗号化を設定したり、定義後の変更も可能。アプリケーション側で意識する必要もないという。

 一方、Oracle DatabaseのRAC環境などは、データをメモリ上に展開させるため、メモリの情報をハッキングされれば、データは漏えいしてしまう。これに対応するために、REDOログやアーカイブログ内のデータ、バックアップデータを暗号化できるようになった。

 このほか、SOA向けの新機能としてXML Queryをサポートすることなども紹介されている。

 なお、Oracle Database 10g Release 2のプラットフォームとして新たに、Windows x64、Solaris x64、IBM Power Based Linux、HP Open VMS Itaniumが追加された。

 9月7日のLinux x86(32ビット)版を皮切りに、Solaris/64ビット版、HP-UX PA-RISC版、IBM AIX5L Based Systemsがそれぞれ10月18日、Windows(32ビット)版が11月1日、Linux Itanium版、Linux x86-64ビット版、IBM Power Based Linuxがそれぞれ12月6日、Windows x64版が12月下旬の出荷を予定している。

 さらに、2006年以降も、HP-UX Itanium、Windows Itaniumが1月、Solaris x86-64(64ビット)およびx86-32(32ビット)版が第1四半期、zSeries Linux版、Apple Mac OS X版、HP Open VMS Itanium版、HP Open VMS版、HP Tru64 UNIX版がそれぞれ上半期にリリースされる予定になっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ