強まるオープンソースからのプレッシャーに直面するMicrosoft

Linuxなどのオープンソースは勢いを増し、ハードベンダーのMicrosoft離れも見られるなか、Microsoftはどう出るのか。(IDG)

» 2005年10月17日 19時40分 公開
[IDG Japan]
IDG

 最近Microsoftの将来のビジョンを深く研究したことからわたしが学んだことがあるとすれば、オープンソースソフトのコンセプトと評判が同社を根底から揺るがしているということだ。この新しいビジョンの大部分は、いかにLinuxとオープンソースがMicrosoftのマネジメントチームに刺激を与えたかを直接反映している。だからMicrosoftは、これほど多くのプラットフォームに一度に将来の掛け金を積み、顧客をオープンソースでは絶対に入手できない新技術責めにするのだ。

 利点は明らかだ。可能な限り多方面からさまざまな華やかさを顧客にちらつかせ、従来機能していたのと同じ販売因習を実施する。つまり、魅力的な機能が相互依存するようにし、次々に別の製品が必要となる仕組みを作り出す。ある製品は別の製品を必要とし、それもまた別の製品を必要とし……といったように。顧客はますます金を払うことになるだけでなく、容赦なくWindowsに縛り付けられていく。

 ただし、従来のようにはうまくいっていない。オープンソースセクターからの競合――品質面での競合――の登場は、Microsoftを揺るがせただけでなく、かつてなく広い範囲のサードパーティーメーカー、パートナー、エンドユーザーらの目を開かせもした。少々窮屈だが、それでも自由市場での競争ではある。従うがいい。

 また、Microsoftの競合相手となっているのは、小規模のオープンソース団体や、MSへの憎悪をむき出しにしている大手ソフトウェアベンダーだけではない。

 最近ハードウェアベンダー3社がWintel同盟から離れ、ほかの選択肢を探し始めた。Dellは“オープンソース”PCのE510nを発表した。この小型PCは非常に標準的なデスクトップの仕様だが、ハードディスクにはプリインストールOSはなく、FreeDOSのCDが付属している。これはつまり、Linux愛好家がWindowsを削除するという手間を掛けずに好きなディストリビューションをそのままインストールできるということだ。また、HPは、WebブラウザのNetscape 8をインストール済みのPCを出荷すると発表した。そしてLenovoは、ThinkPadシリーズの1機種にStarOffice 8をバンドルすることを決定した。

 もちろん、これらの発表はいい話ばかりではない。例えば、英国のITニュースサイトThe Registerには、Dellの“オープンソース”PCを買おうとしたところ、標準的なWeb販売では、E510nのセットアップはWindow XP版の同程度のDellマシンよりやや高くつくことに気付いたという記事を載せている。うーん。記者の問題解決に、Dellのサポート担当者は尽力してくれたが、それでも十分に魅力的な価格差とはいえない。

 HPは、Internet Explorer(IE)の代わりにNetscape 8を提供するのではなく、単にIEに追加して提供するだけだ。また、Netscape 8の売りの機能の1つは、ユーザーがIEとFirefoxのブラウザエンジンを動的に切り替えることができる点だ。

 そして、ThinkPadの顧客は長い間、主にLotus SmartOfficeという、代替のプロダクティビティスイートオプションに慣れている。だからStarOfficeなのだ。ThinkPadが元IBMの製品だと考えれば、それほど衝撃的なことではない。

 わたしはこうした取り組みにいちゃもんを付けているわけではない。こうしたMicrosoftの代替の人気の高まりはもちろん、注目すべき興味深い新しいトレンドと言える。だが、わたしが言いたいのは、このトレンドは小さなところから始まっていることを指摘すべきだということだ。

 しかし、確かにこれはトレンドとなっている。この動きにより、今後数年はさまざまな意味で面白くなることは確かだ。価格とパフォーマンスにより多くのマージンが期待できる。何をどう買うかを注意深く選べば、組織にとってより顕著な成功を収めることができる。新しい、さまざまなアプリケーションがより大きなスケールで互いに関連し合うようになれば、ITマネジメントはもっと楽しくなるだろう。

 そして最後に、Microsoftがどう反応するかを見るのはもっと楽しみだ。選択肢があるからといって、Microsoftが傷つけられたり、ましてや打ち負かされているとは限らない。だが、Microsoftは対抗する動きを見せている。そして、同社が対抗策に総力を投じたとき、結果は素晴らしいものになり、われわれにはさらに多くの選択肢を提供してくれるだろう。混沌、競合、オープンソース、Microsoft。分かりにくいかもしれないが、長い目で見ればいい方へ向かうに違いない。

(By Oliver Rist, InfoWorld US)

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