企業の成長にはM&Aが必要――レノボとPwCCとの統合経験を生かしIBMが新サービス

IBMビジネスコンサルティングはM&Aの成立後に、事業や組織の統合、分割を効果的に行い、相乗効果を上げることを目指す「M&A経営統合サービス」を提供すると発表した。

» 2005年10月25日 19時17分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 IBMビジネスコンサルティングは10月24日、M&A(企業の合併および買収)の成立後に、事業や組織の統合、分割を効果的に行い、相乗効果を上げることを目指す「M&A経営統合サービス」を、同社のサービスの1つとして同日から提供すると発表した。これは、PwCCおよびレノボとの経営統合を実現したIBM自らの経験を体系化し、外部の企業に提供していくもの。M&A後にかかる事業および組織統合を3分の1の時間で実現実現するとしている。

 同社戦略コンサルティングサービス担当の取締役、金巻龍一氏は、「売り上げ拡大を成長として重視する時代が再びやってきってきている。M&Aは有効活用すれば成長をもたらしてくれるもの」と話す。

金巻氏

 一般に、「成長業界に属していなければ高い成長はできない」「大企業より中堅中小企業の方が成長率が高い」「M&Aは成長手段として適切ではない」「成長を実現する唯一無二の手段があるはずだ」といったことが、「通説」として語られることがあるものの、同社の調査結果では、これらはいずれも、必ずしも正しくないことが明らかになっているという。

 特に、自社だけで絶え間なく成長し続けている企業は実際にはほとんどなく、高成長企業の多くがM&Aをうまく活用していることは疑いがないとしている。

 このように、金巻氏は、M&Aの戦略的重要性を強調する一方で、合併してからの組織づくりがより困難であり、成功を左右することも併せて強調した。

 そこで、同社が方法論として提供するのがCBM(コンポーネントビジネスモデリング)だ。これは、企業の状況を、縦軸に上から戦略、コントロール、オペレーション、横軸に左から、研究、マーケティング、調達、製造、販売、物流、サポート、会計といったように、実業務を企業改革のための海図のようなイメージで配置するもの。

 これは、組織や事業を機能に着目して分析するIBMの経営改革手法の1つで、事業全体をその構成要素であるコンポーネントに分解して、明示するものだ。そして、各コンポーネントが企業競争力を考える上で核となるかを検証し、機能ごとに、自社で持つか、アウトソースするかなどを全体最適の視点で決定していく。日本でのレノボへのPC事業の移管が4カ月という短期間で実現したのも、CBMを活用したことが要因になったとしている。

 さらに、具体的なサービスとして、「M&A経営統合レディネス診断サービス」「経営統合プログラム診断サービス」「経営統合実行支援サービス」「ビジネスプロセス統合サービス」「IT統合サービス」「チェンジマネジメントサービス」「ポスト経営統合支援サービス」などが提供される。

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