新生シマンテック初のジョイントソリューションは「電子メールのライフサイクル管理」

新生シマンテックは、ベリタスとの合併後初となるジョイントソリューション「Symantec Email Security & Availability」を発表した。

» 2005年11月01日 22時58分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 新生シマンテックは11月1日、プライベートカンファレンス「Symantec VISION*Xchange 2005」の会場で、ベリタスソフトウェアとの合併後初となるジョイントソリューション「Symantec Email Security & Availability」を発表した。

 ウイルス対策を中心に「セキュリティ」をリードするシマンテックと、ストレージ管理やバックアップでエンタープライズの「アベイラビリティ」(可用性)をリードするベリタスとの合併で目指す「Information Integrity」(情報の完全性)を具現化する第1弾ソリューション。

 Information Integrityは、「セキュリティは外からの脅威に対して情報を守る」「アベイラビリティは災害対策など含め内側からの脅威に対してデーターの完全性を保証する」という2つ課題を包括して解決する新生シマンテックのビジョンで、今回のイベント全体のコンセプトにもなっている。

 今回発表されたジョイントソリューションでは、シマンテックのセキュリティ関連製品と、ベリタスのアーカイブ関連製品/バックアップ製品などを組み合わせ、電子メールのライフサイクル管理を可能にする。ゲートウェイ上で稼動する「Symantec Mail Security 8200」と、電子メールのアーカイブを実現する「VERITAS Enterprise Vault」で主に構成されている。

香川悦子氏 ソリューションマーケティング ディレクターの香川悦子氏

 同社によると、電子メールの60%はスパムなどの不要メールであり、電子メールそのものの増加と相まってストレージの増加は深刻な問題の1つとなっているほか、企業のコミュニケーションツールとして重要な手段となった現在では、柔軟かつ堅牢な運用基盤も必要になる。

 一方で、コンプライアンスの側面からも電子メールの長期に渡った保存や管理が求められており、増え続けるメール用ストレージの管理にはさらなるコスト負担がのしかかる。例えば、米国のSOX法(企業改革法)に対応するには、SECの義務付けにより監査終了後も最低でも7年間に渡ってメールを保管しなければならない。しかも、ただ保管してあればいいわけではなく、必要に応じて素早く取り出せることも求められる。

 従来、これらの課題に対応するには、数多くのベンダー製品が用いられ、それぞれ個別に管理されてきたが、今回のシマンテックによる統合ソリューションでは、電子メールのライフサイクル全体を1社でカバーできるメリットがあるという。

 ソリューションマーケティング ディレクターの香川悦子氏は、この仕組みをさらに発展させ、「今後はインスタントメッセージング(IM)の監視や管理も取り込み、メッセージングシステム全体のエコシステムを構築していきたい」と話した。

統合計画のフェーズ1は「順調だ」

 また、新たにシマンテック日本法人の代表取締役社長を兼務することになった木村裕之氏から、両社の統合の状況についての説明があった。現在は、最初の6カ月となるフェーズ1にあたり、製品の相互運用の検証を行い、共同でソリューションの提供を実現する段階とのこと。

木村裕之氏 日本法人の統合までシマンテックとベリタスの社長を兼ねる木村裕之氏

 今回発表したSymantec Email Security & Availabilityソリューションのほか、従来のセキュリティ製品を販売していたパートナーを通じ、ベリタスのWindows版バックアップ製品の提供も実施する。コンシューマにも強いシマンテックの流通を、エンタープライズ市場で実績のあるベリタスの製品に適用し、中堅市場拡大を目指す。

 合併後の方針について、木村氏は「IT業界に安全性と信頼性をもたらしていきたい、これによりIT業界をもっと成熟した大人の市場にしたい」とコメントした。

 新生シマンテックは次のフェーズ2(6カ月)で、製品統合の強化でインタフェースやライセンス、サポート体制の共通化を行い、その後のフェーズ3で両社のテクノロジーそのものを融合させていく予定だ。

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