企業に弾力性のあるインフラを――顧客に向け新生シマンテックをアピール

新生シマンテックは、合併後初となるプライベートカンファレンス「Symantec VISION*Xchange 2005」を都内ホテルで開催。日本のパートナーと顧客に向けて、合併後のビジョンを説明した。

» 2005年11月01日 22時31分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 新生シマンテックの誕生から4カ月。ストレージソフト大手のベリタスソフトウェアと統合して誕生した新生シマンテックは、「Information Integrity」(情報の完全性)のビジョンを掲げる。日本法人の統合はまだ終えていないが、シマンテックの社長をベリタスの木村裕之社長が兼任するほか、ジョイントソリューションを投入するなど、着実に体制を整えている。

 新生シマンテックは11月1日、合併後初となるプライベートカンファレンス「Symantec VISION*Xchange 2005」を都内ホテルで開催。日本のパートナーと顧客に向けて、新生シマンテックのビジョンを説明した。

ジャニス・チャフィン氏 米Symantecのチーフマーケティングオフィサー、ジャニス・チャフィン氏

 「より大きな問題に対応できるようになった」――米Symantecのチーフマーケティングオフィサー、ジャニス・チャフィン氏は統合のメリットをパートナーと顧客にこう説明した。同氏が「より大きな問題」というのは、外部からの攻撃に限らないすべてのリスクを意味する。

 企業にとって情報の価値が高まっている中、これをセキュアに守り、システム障害に対して迅速に対応できる回復力を持たなければ、ビジネスに大きな影響を及ぼす。システム停止の原因は、外部からの攻撃だけでなく、天災や人的ミスによっても引き起こされる。これらの問題に対処するため、旧シマンテックはセキュリティの観点から、旧ベリタスは可用性の観点からそれぞれにアプローチしてきた。しかし、新生シマンテックでは、これらを別個のものとしてとらえるのではなく、包括的にカバーできるユニークなベンダーになることを目指していく。

 チャフィン氏は、「セキュリティとアベイラビリティのバランスが大切」と話し、旧シマンテックのセキュリティ製品と旧ベリタスが抱えるデータ保護製品などが両輪となって、ITインフラを支えられることをアピールした。新生シマンテックでは、この考えに支えられたITインフラを「レジリエントインフラストラクチャー」(弾力性のあるインフラ)と呼んでいる。

新生シマンテックのカバレッジ 新生シマンテックの製品のカバーエリア。同社は統合計画の中で、これら製品を組み合わせてITインフラが抱えるあらゆるリスクに対応できるソリューションの構築を目指すことになる。

 その手始めとして、この日、両社の製品をソリューションとして組み合わせた「Symantec Email Security & Availabilityソリューション」を日本にも投入。今後の新生シマンテックがもたらすメリットを初めて具体的なソリューションとして示した。

 同ソリューションは、電子メールに関わるライフサイクルに着目し、各フェーズでの問題の解決を試みるもの。受信するスパムやウイルスメールのフィルタリングからはじまり、アウトバンドのトラフィックのモニタリング、バックアップや規制で要求されるアーカイビングまで、電子メールの管理に必要となる機能を包括して提供できるようにしたものだ。

 「このような電子メールに関するソリューションは市場に30も存在している。それだけでもいかに複雑なインフラだったことが分かるはずだ。これを新生シマンテック1社で解決できるようになったわけだ」(同氏)

 新生シマンテックの統合計画は、現在フェーズ1の段階、お互いの製品の相互運用性の検証を進めてきた。電子メールソリューションはこの成果としてまず提供されるものだという。同社は、このほかにもフェーズ1で「ビジネスの継続性」「コンプライアンス」という切り口でも統合ソリューションやサービスを提供していくことになる。

コンシューマービジネスは?

 シマンテックのコンシューマービジネスも順調のようだ。ベリタスとの合併により影に隠れてしまった印象のあるコンシューマービジネスだが、「コンシューマービジネスももっとご期待ください」と新生シマンテックでも変わらぬコミットメントを改めて約束した。

 コンシューマ事業統括の齋藤秀明氏によると、2005年上半期のセキュリティ分野の店頭パッケージ販売は45.8%のシェアを獲得。2004年度に比べ3ポイント程度シェアをアップさせ、順調な推移を見せている。「今後もパートナーシップを拡大して、より早く強力なセキュリティソリューションを提供していくようにしたい」(齋藤氏)

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