リース満了の直前で慌てないために――創業50年、ねじ卸業のK社長のケース中小企業のためのIT活用業務歳時記(1/2 ページ)

ITシステムのリース満了は必ずやってくる。その前に次の戦略を考えておかなければ、業務のやり方が陳腐化したままということはよくある。地方都市で創業50年のねじ卸業を営む2代目K社長は、その時を迎えようとしている。

» 2005年11月08日 07時29分 公開
[木村玲美,ITmedia]

リース期間過ぎたら故障しても保証しないって?

 地方都市で創業50年のねじ卸業を営む2代目K社長は、腑に落ちない表情で腕を組んでいる。

 目の前には販売管理システム刷新の見積書が開いてある。あと3カ月で現行システムのハードウェア、ソフトウェアのリース期間が終了するのだ。ITベンダーからは、「サーバやパソコンの補修部品が確保できないものもあり、大急ぎで買い替えないとシステムが停止して業務に支障をきたす場合もある」と脅されている。また「新しく導入を予定しているサーバやパソコンのOSでは、これまで使っていたプリンタやスキャナなどの周辺機器の動作を保証しかねる。だから周辺機器一式も買い替えましょう」とも言う。

西暦2000年問題で慌てて現行システムを構築した

悩む社長

 リース期間が過ぎようとしているのは、「西暦2000年問題で大変なことになる」ということで、1998年に大慌てで構築に取り掛かった販売管理システムだ。当時オフコンで稼働していたシステムをそのままPCベースのものへ乗り換えた。

 K社長は腕を組みながら考えている――。わが社のIT化の取り組みは同業他社に比べて早かった。特に売り上げに直結する販売管理システムの構築には力を注いだ。扱っている商品点数は1万点以上に及ぶが、業界でのコードの標準化は進んでおらず、在庫管理のIT化にはまだ着手していない。商品棚レイアウトを工夫し、日々目視で管理している。いずれはIT化が必要だろう。会計システムについても、PCで自動化しているが、販売管理システムとは連携しておらず出力された伝票を基に手入力している。

 ハードウェアの寿命がきているということで、慌てて刷新するのは西暦2000年問題のときと同じで得策ではない。リース期間の半年延長をITベンダーに申し込み、今後のIT化の方針をしっかり考えよう。

個別開発のままでいいのか

 現在の販売管理システムは、同社の仕事のやり方、流れに合わせて構築してある。いわゆる個別開発だ。販売管理に特化したシステムで無駄なく使いやすい。帳票類もオリジナル製作で満足している。

 しかし西暦2000年問題時は、当時オフコンで稼働していたシステムを大慌てでそのままパソコンベースに載せ換えてしまったしまった。だから、オフコンを導入した12年前から仕事のやり方も販売管理システムの内容もほとんど変っていない。今回もそのまま新しいハードウェアに、現在と同じ機能の販売管理システムを載せ替るだけでいいのだろうか? 疑問が残る。

<K社長の想い・不安>

  1. 現在の仕事のやり方はオレ流、このままでいいのだろうか?
  2. 会計システムと連動させたい
  3. 将来、在庫管理をシステム化したときに販売管理と連動させたい
  4. 個別開発だとITベンダーの変更が困難だ
  5. 現在は業績も良く資金潤沢で情報化投資も苦にならないが、5期ごとのハードウェア、ソフトウェア総入れ替えに今後も対応できるか不安だ
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ