廃業から一転 ネットで復活した地方ダンボールメーカーの秘策売ってなんぼ! 中小企業の顧客獲得作戦(1/3 ページ)

地方にある小さなダンボールメーカーはネットを通じて年間1000件余りの新規顧客を開拓している。一度は廃業を考えていたが、ネットを使った顧客開拓に成功し息吹を吹き返した。

» 2005年12月06日 08時12分 公開
[木村玲美,ITmedia]

 商売の基本は顧客とのコミュニケーションにある。地方の小さなダンボールメーカー村松紙器は、地道にこれを実践した結果、ネットを通じ年間1000件余り、計3000件以上の新規開拓を成し遂げている。

下請け仕事が激減、廃業を考えていた

社長さん

 村松紙器は、地元の中堅ダンボールメーカーの下請け業者として長年仕事をしてきた。親会社が設備を動かすには、割の合わない少ロットの下請け仕事を請け負ってきた。普段は家族で仕事をこなし、繁忙期には近所の農家の人にパートに入ってもらって仕事をしてきた。金型なしの手作業の職人技が売りで、定形外のダンボールの製作であっても、低コストかつ短納期を実践する小回りの利く業者として重宝されてきた。

 しかし、これまでダンボールの最大の需要だった家電梱包が低迷してきた。以前のようには家電が売れなくなったからだ。親会社からの仕事もめっきり減り、従業員の高齢化も手伝って、本気で廃業を考えていた。

ネットを追い風に新しい顧客を開拓

 ところが、2002年ゲームソフト販売店に勤務していた30代前半の息子が戻ってきた。後を継ぎたいという。どんな仕事も厳しかったころだったから、ゼロから新しい仕事を始めるよりは、これまで培ってきた親父のノウハウを生かした方がいいのではないかと考えたという。

 ゲームソフト販売という異業種から得られるヒントは大いにあった。そのころネットオークションでは、中古ゲームソフトや中古音楽CDの個人取引が盛んに行われていた。これまで親会社1社に依存して仕事をしてきた村松紙器だが、経営の安定を考えると、広く顧客を獲得していく必要がある。息子は「田舎の業者にもインターネット社会は多くのチャンスを与えてくれる」と考え、事業領域を大きく変えて勝負することにした。

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