「複雑なSAN環境はいらない」の声に対応するブロケードBrocade Conference 2005 Tokyoレポート

複雑なSAN環境はいらない――ストレージの管理の課題に対し、ブロケードは同社の新たなストレージ仮想化技術が解決策になるとアピールした。

» 2005年12月12日 09時17分 公開
[ITmedia]

 ブロケード コミュニケーションズ システムズは12月9日、都内のホテルで「Brocade Conference 2005 Tokyo」を開催した。複雑なSAN環境はいらない――ストレージの仮想化を推し進めるパートナー企業各社とともに、ブロケードは、ストレージの管理の課題を解決する次世代SANの姿を示した。

 Storage Area Network(SAN)は、サーバと1対1で接続してきたストレージを切り離し、ネットワーク越しに接続することでリソースの柔軟な利用と管理を可能にしてきた。しかし、データの増加は果てしなく、物理的なサーバやストレージ装置の増加を招き、再びストレージの世界は管理の複雑化、管理コストの増大という課題に直面している。

 SANスイッチベンダーの大手、米Brocadeのマイケル・クレイコーCEOは、開幕の基調講演で現在のSANが解決すべき問題に言及した。同社の調査によると、同社顧客企業800社のうち、62%が「ストレージの運用における複雑性とコストの削減」を第一の課題に挙げ、約半数に当たる49%が「既存のSANを再構築するか次世代SANに置き換えたい」と答えたという。

マイケル・クレイコーCEO 米Brocadeのマイケル・クレイコーCEO

 「ビジネス環境の変化に伴い、ストレージ容量の追加や増設がその都度求められる。拡大するストレージ容量を維持するには、莫大なコストが掛かる。また、世界にはデータ保護に関する法令が8000近くも存在しており、それらへのコンプライアンスを考えなければならない新たな課題も生まれている」とクレイコー氏。

 そこで、SANスイッチ「SilkWorm」で構成してきたこれまでのSAN環境上に、仮想化ともいえる管理機能を搭載させ、これら顧客に解決策を提供する。同社が最近発表した「Tapestry」という一連の管理機能/製品がその1つの回答というわけだ。

ストレージ管理を簡素化するTapestryとは?

マックス・リグスビー氏 米Brocadeのチーフ・テクノロジー・アーキテクト、マックス・リグスビー氏

 9月に発表された「Brocade Tapestry Wide Area File Services」(WAFS)はその第1弾。WAFSは、リモートオフィスに散在するファイルサーバをデータセンター1カ所に集約することを可能にするアプライアンスだ。同社のチーフ・テクノロジー・アーキテクトのマックス・リグスビー氏は「キャッシュ技術とデータ圧縮技術を組み合わせて、WANを経由せず透過的にアクセスできるようになる。特に、Microsoftとの連携によりOfficeソフトとの互換性を完全に確保できた」とアピールする。

 企業データの3分の2に当たる75%はデータセンター以外に保管されており、リモート拠点に設置されたファイルサーバの40%はバックアップすら行われていない。この現状をWAFSにより打破できるという。

 このWAFSのほか、「Tapestry Data Migration Manager」(DMM)と「Tapestry Application Resource Manager」(ARM)の2製品を今後日本でも展開する予定だ。

 DMMは、SANに接続された異機種混在のストレージシステム間でのデータ移行を容易にする機能を提供する。データ移行には多くの時間を費やさなければならいないのが現状だが、DMMは、短時間での移行を可能にするほか、移行にかかる時間を割り出すといったことを可能にするという。「既存のSANを再構築したいというニーズがありながら、このような問題で頭を抱えてしまう企業は多い。その解決の糸口をDMMがもたらす」とリグスビー氏。

 さらに、同氏が「試験導入している顧客から絶賛されている」と胸を張るのがARMだ。同製品は、SAN上からサーバの自動ブートなどを可能にするもので、OSやアプリケーションをイメージとしてストレージに保管し、必要とするサーバに割り当てる。これによってサーバの自動展開やリロケート・交換といったユーティリティー化を加速させる。

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