OpenDocument支持のマサチューセッツ州CIOが退職

「もうこの重荷を背負うことはできない」――マサチューセッツ州CIOのピーター・クイン氏は、OpenDocument支持を打ち出したことで注目され過ぎたようだ。(IDG)

» 2005年12月28日 15時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Microsoftのデジタル文書フォーマットからの乗り換えを進めていたマサチューセッツ州の州政府幹部が退職する。同州CIO(情報統括責任者)ピーター・クイン氏が1月9日付で退職することがIDG News Serviceが入手した内部メモにより明らかになった。

 クイン氏は、同州政府機関のコンピュータでMicrosoft OfficeやLotus Notesなどのプロプライエタリなフォーマットを使わないようにする移行計画を進めていた。この「Information Technology Division(ITD)」計画の下、同州は2007年にXMLベースのオープンなOpenDocumentフォーマットに移行する予定だ。

 この計画によりクイン氏はオープンソース界の英雄になったが、市民から厳しい視線を浴びることにもなり、公私にわたる生活に支障を来すこともあった。そこまで注目を浴びたことが、退職の一因だとメモには書かれている。

 「ここ数カ月、われわれは困難で騒々しい時期を過ごしてきた」と同氏は12月24日にITDのスタッフあてに送ったメモの中で述べている。「これらの出来事の多くは、わたし個人の幸福、わたしの家族、近しい友人の多くにとって有害だった。もうこの重荷を背負うことはできない」

 観測筋によると、OpenDocumentを支持したことでクイン氏は難しい立場に立たされた。州政府内の同氏の強力な支持者であるエリック・クリス行財政長官が退職したことでその立場はさらに厳しくなったという。

 クイン氏の退職が、Microsoftフォーマットからの移行計画を進めるのか、妨げるのかは分からない。エリック・クリス氏の後任のトム・トリマルコ氏は先月、マサチューセッツ州はMicrosoftが提案した新しいフォーマット「Office Open XML」が同州の基準を満たすと楽観視していると語った。

 クイン氏の退職がどんな影響を及ぼすにせよ、2006年のマサチューセッツ州での展開が注目されるのは明らかなようだ。

 「この問題では、マサチューセッツ州は鉱山のカナリアだ」とハーバードロースクールの臨床法学教授で、インターネットと社会のためのバークマンセンターのエグゼクティブディレクター、ジョン・パルフレー氏は最近語った。「同州がこの問題に適切に対処すれば、ほかの州もそれに倣うだろう」

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