政府・企業へと広がるOpenDocument採用、OOo 2.0を機に増大へ?

オープンソースのオフィススイートOpenOffice.org 2.0で採用されたOpenDocumentフォーマット。英国で標準フォーマットとして、そして一太郎も採用など追い風が続いている。

» 2005年11月01日 19時47分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 11月1日、OpenOffice.org日本ユーザー会はプレス向けブリーフィングを開催した。この会見では、10月28〜29日に開催された「関西オープンソース2005」(関連リンク)で来日した米国OpenOffice.orgコミュニティーマネジャーのLouis Suarez-Potts氏が招かれ、OpenOffice.org 2.0の概要、そしてコミュニティー状況についてが語られた(関連特集)

 同氏は、4つのOpenOffice.orgで注目すべき事項を挙げた。1つは「FOSS」(フリー、オープンソース)、2つ目はサンを始め国内ではグッディ、ワイズノットなどの企業によって支えられていること、3つ目はMicrosoft Officeと同様にスイートパッケージとして構成されていると共にWindowsだけでなくLinux、FreeBSD、Mac OS Xもサポートするマルチプラットフォーム対応、4つ目をOASIS標準のOpenDocumentフォーマット対応であると語った。

 特にSuarez-Potts氏はOpenDocument Format(ODF)についてを強調し、現在、各国の政府や企業に対し強くアピールしているという。「FOSSがもたらす利益と同じものの多くを約束できるからです」と同氏。

 ODFは、10月31日既報のようにジャストシステムが一太郎で採用を表明、そしてSuarez-Potts氏は今後も数十年に渡り広くサポートされ続けていくはずだと強調した。今回の新版OpenOffice.org 2.0のリリースによって、われわれはマイルストーンに到達したと自信を見せている。

 国内のOpenOffice.orgユーザー会の鎌滝雅久氏からは、OpenOffice.org 2.0の開発方針として次のような点が挙げられた。

  • はじめてのユーザーに使いやすく
  • 今まで以上に使いやすく
  • マクロ機能を充実させる
  • 画面デザインをOSとあわせる
  • 処理速度向上
  • Microsoft Officeとの互換性向上

企業で進むオフィススイートの見直しへ

 会見後半では、ビジネス利用の側面としてグッディとワイズノット、サン・マイクロシステムズからの取り組についてがそれぞれ紹介された。

 グッディの谷 列樹氏からは、OpenOffice.orgのサポート事業についてのコメント。同社の「OpenOffice.org法人向けサポートメニュー」では、導入支援から利用時のサポート、教育をカバーするという。インストールからドキュメント変換、メールや電話によるサポートを行うもの。同社は新版2.0よりも前から国内のOpenOffice.orgユーザー会に参加しており、OpenOffice.orgの開発へのコミット、ドキュメントの整備など、法人ではサンと並ぶ積極的な取り組みを行っている。

 ワイズノットの三島氏からは、同社内で導入した際の経験が語られた。ナレッジ共有を行うと共に、同社では現在のところ250名ほどの全社員の中で既に150名が使用しているという。積極的に使用を推進している企業といえる。残りの100名は、事務職や他社とのやり取りを行っているため課題があるとのこと。

 また、社内の営業から声では、社内ではMS Office、自宅ではプレゼンテーションデータなどを確認するために利用している声が多いという。エンジニアは、特に不自由は全くないといい、事務職では前述のように他社とのやり取りさえ解消できれば問題はないという。マクロの互換性で問題点が大きなところのようだ。

 また三島氏は、Suarez-Potts氏と同じくOpenDocumentについてを強調し、英国では政府が表明する標準化が進んでいるため、マイクロソフトは後追いになっていくと語る。新版2.0の躍進が良い機会になるはずだとコメントした。

 サンからはプロダクトマーケティング本部主任の高松新吾氏が招かれ(関連記事)、OpenDocumentの最新動向を始め、StarSuite 8を中心とした取り組みが語られた。サンは、オープンソースコミュニティーへのコミットとして、OpenOffice.orgを始めNetBeans、Java、OpenSolaris、GlassFishなど多くの分野で成果を上げているという。

 また高松氏は、2005 JavaOne Conferenceで表明したサンが指向する一つ「Participation Age」(参加の時代)についても触れ、コミュニティーとの協調が大きなものとなっていることを強調した。また、事例としてAMDがIntelの利用率を抜いたという最近の情勢についても語り、後発であっても十分に対抗できる土壌がOpenDocumentフォーマットなどによって整ってきていることを語った。

 11月9日(水)から東京国際フォーラムで開催の「JavaOne Tokyo 2005」では、OpenOffice.org、NetBeans、OpenSolarisをブース展示してオープンソースコミュニティーとの協調をアピールするという。

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