Texas InstrumentsとMontaVistaがデバイスの相互運用性の向上を約束(2/2 ページ)

» 2006年01月20日 14時25分 公開
[Stephen-Feller,japan.linux.com]
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顧客の視点

 Panasonic Digital Concepts Centerのディレクターであるブラッド・マクマナス氏によれば、コンシューマー向け電子機器の分野では、多くの企業とユーザーが追求している相互運用性を強化するために、標準化されたソフトウェアおよびハードウェアを採用する戦略が大きなトレンドになる、と同社は捉えているようだ。同社は非常に多くの製品にLinuxを採用しているにもかかわらず、Linuxはこうした動きの重要な役割を担っているものの、必ずしもデバイス同士の協調動作に向けた唯一のソリューションではない、と彼は語っている。

 「Linuxを使えば、さまざまな目的を達成できる。設計開発における研究費用を削減できるでなく、われわれのデバイスの相互運用性を向上させることもできる。わが社は、ソフトウェアとハードウェアの両面において標準化プラットフォームの戦略に移行している」と彼は説明する。

 Panasonic Digital Concepts Centerは、製品開発におけるLinuxの採用を増やす方向に向かっている。この傾向は、マクマナス氏が言うところの「社内におけるLinuxを利用する開発チームの大幅な増加」という形で現れているという。各製品に独自のインタフェースがあったように、かつては製品ごとに担当部門や製品グループが存在した同社では、デバイスごとに標準OSの簡単な調整をするだけで、社内の製品同士を組み合わせて動作させることができたのだ、と彼は説明している。今では、開発者同士が同じユーザーインタフェースを使って作業を進めることができるため、間接的に同社のグループは、事実上の共同作業を行っているといえる。

 マクマナス氏は、Panasonic Digital Concepts CenterがTIと一緒に進めている取り組みに関するコメントは避けたが、PanasonicにはUniphierという、やはり標準化された独自のハードウェアプラットフォームがあると語っている。同社のデバイスの幾つかを標準のハードウェアおよびソフトウェア上で基本構造を作り上げることで、同じツールを同時に使って複数の製品群を開発することが可能になっている。

 DaVinciテクノロジーを採用した一連の製品、特に最近発表された2つのコンポーネントは、DVRボックスやMP3プレーヤーでの利用のほか、そのほかのセットトップボックス、映像機能を備えた電話、映像セキュリティシステム、デジタルスチルカメラ、および自動車向け情報機器での利用が期待されている、とTIのファム氏は述べている。DaVinch製品はまた、TIの製品がまだ進出していないデジタルビデオ製品の分野における効果の立証も期待されている。

 デバイス内でのLinuxの利用によって多くのオプションを開発者に提供する狙いの一端を担うものとして、ファム氏によると、コミュニティーとしての成長が期待される開発者フォーラムとソフトウェアリポジトリを、2月末までの新型プロセッサの出荷に合わせて立ち上げることを両社は計画しているという。

 2種類の新型プロセッサ、とりわけそのDVEVMの売りになっているのは、「事実上のプラグアンドプレイ機能」を開発者に提供できる点であるとテック氏は述べている。業界で認められた標準規格に従って製品を提供すれば、開発者はすでにオープンソース化されたLinux向けのソフトウェア資産を活用できる、と彼は説明する。また、ソフトウェアの内容をハードウェアに移植する時間が不要になるため、ソフトウェアを特定のデバイスに統合するのが容易になるとも述べている。

 マクマナス氏によると、開発者が本当に欲しい機能を市場向けの製品に載せて提供することの潜在的な可能性は、その「オープンな特性」から、Linuxを利用する場合に制限されないという。こうした開発形態は、各メーカーがオープンソースコミュニティーと協同で作業を進め、誰もが自由に使えるソフトウェアを利用するという新たなパラダイムになるかもしれないと彼は語っているが、こうした変化は、企業とユーザーの双方にとって利益を持たらすだろう。

 「ほかのものとは違い、デバイスを実行するLinuxの存在は、コンシューマーが意識する必要のないものだ」とマクマナス氏と言う。「大事なのは、ユーザービリティと使いやすさを向上させることだ。もし優れたソリューションにならないとしたら、決してOSをLinuxに変えようなどとはしなかっただろう」(同氏)

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