Texas InstrumentsとMontaVistaがデバイスの相互運用性の向上を約束(1/2 ページ)

TIは、DSPベースの家電向けデジタルビデオ統合ソリューション「DaVinci」にMontaVista Linuxを採用することを決定したが、その狙いを読み解く。

» 2006年01月20日 14時25分 公開
[Stephen-Feller,japan.linux.com]

 Texas Instruments(TI)とMontaVista Softwareは、TIのDaVinciテクノロジーを採用した製品にEmbedded Linuxを搭載することを昨年12月に発表した(関連記事参照)。この取り組みは、一般ユーザーの生活に浸透したガジェット(小型の電子機器)の相互運用性を高めようという電子機器業界の狙いを受けて、デジタルメディアの分野におけるハードウェアとソフトウェアの統合をさらに密接にする試みの一環として行われる。

 両社は、こうした一連のLinux搭載型のDaVinchテクノロジー採用製品が、両社の販売している製品の統合を促進するための基盤になると期待している。こうした統合が進めば、デジタルビデオレコーダ(DVR)セットボックス、ポータブルMP3プレーヤーなどのデバイスとデスクトップPCとの通信機能をユーザーが利用できるようになる、とTIのデジタル信号処理(DSP)用システムオンチップ製品マーケティングチームのユイ・ファム氏は述べている。

 Monta Vistaの製品マネジメントのディレクターを務めるオーレン・テック氏によれば、Linuxはすでに小型デバイス機器向け組み込みオペレーティングシステムの分断された市場の25%を占めており、このLinuxの搭載率は今後5年間で全デバイス機器のほぼ半数に達すると可能性があるという。また、TIとMontaVistaはそれぞれの製品開発チームに対して、基本的なレベルでの共同開発を認めつつ、自社製品の差異化を進めるための機会を提供しようとしている、とも彼は述べている。

 昨年12月の両社による発表で焦点が当てられたのは、2種類のDSPベースのSOCであり、いずれもデジタルビデオ市場向けに開発されたものだ。一つはビデオのデコード機能のみを備え、もう一つはデコードとエンコードの両機能を備えている。両チップをはじめとするDaVinci製品シリーズは、製品開発をさらに容易にするマルチメディアコーデック、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、フレームワーク、および開発ツール群とともに提供される。

 この2種類のプロセッサDM6443とDM6446についてファム氏は、「労力を必要とする作業の多くをデバイスの製造業者および設計業者に代わって行うことで、アプリケーションの開発をもっと容易にしようとした」と説明している。これらの製品に含まれているソフトウェアプラットフォームでは、MPEG2、MPEG4、ボイスイメージング、スピーチオーディオなどのフォーマットや機能を対象としてコーデックの最適化が行われている。「われわれは、デジタルビデオのプラットフォームに必要なあらゆるものの統合を進めている」(同氏)。

 また、Monta Vistaのテック氏は、この2つの製品は、開発効率を向上させるための、部品の構成と組み立てを直感的に行える「ブロックビルド」の機能に加えて、TIの開発したデジタルビデオ評価モジュール(DVEVM)もデバイス開発者に提供している、と説明している。

 DVEVMは、TIの新製品がターゲットアプリケーションとしているようなシステムのテストと実装を行うためのプレビューパッケージとして提供され、Monta Vista Linux Professional Edition、ペリフェラルコーデック、およびフルビデオポートが含まれている。テック氏によると、TIとMonta Vistaの両社では、一緒に実行されることを前提としてハードウェアとソフトウェアの設計と試験を行っているため、製品開発者は製品ごとのオペレーティングシステムのリライトに時間を費やすことなく「技術革新と市場供給までの時間短縮」に注力できるのだという。

 オペレーティングシステムの画一化が進むデバイスについて、テック氏は「こうしたプラットフォームには、差異化されたソリューションを提供し、市場で進んでいる陳腐化を避けるために、さらなる柔軟性が必要とされている」と語っている。携帯電話において、OSと同じように新旧デバイス間の機能差がなくなれば、エンドユーザーはメーカーによる機種の違いを区別できなくなり、限られた機能しか使えなくなってしまう、と彼は説明する。

 Linux搭載チップのメリットは、カーネル、デバイスドライバ、ネットワーク処理、またはそのほかの設定について懸念することなく、Linuxディストリビューションを利用して具体的なアプリケーション開発に注力できる点にある、とテック氏は述べている。

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