新会社法により創設された株式会社の機関である「会計参与」。この機関がどのような役割を担うかについては、意外と知らない人が多い。ここでは会計参与の設置目的からその職務権限などを解説する。
当社は、甲信用金庫から5000万円の融資を受けています。最近、信用金庫の担当者から、「来年から商法が新しい会社法に変わり、会計参与制度ができますが、御社もその導入を検討されてはどうですか」との提案を受けました。しかし、この「会計参与」がどのようなものか、当社にとってどのようなメリットがあるのか、さっぱり分かりません。詳しく教えてください。
会計参与は、新会社法により創設された株式会社の機関です。会計参与は、会計監査人と同じ職業会計人からなる会社の機関(役員)ですが、外部から会社をチェックする役割を担う会計監査人とは異なり、取締役と共同して計算書類などを作成する業務執行機関です。
会計参与の導入は、原則として任意ですが、会社が取締役会を設けていても監査役を設けないという機関設計をする場合には、会計参与を置くことが義務付けられます。
会計参与を設けることで、小規模な株式会社の会計書類の信頼性を高め、中小企業への融資を促進するなどの効果が期待されます。とはいえ、今回の新会社法によって生まれたまったく新しい制度であり、その有用性は、今後の運用にかかっています。
解説 |
会計参与の設置は、従来、比較的小規模な株式会社においてきわめて低いとされていた、決算書などの計算書類の信頼性を高めることにあります。従って、貴社のように、金融機関が融資先の会社に対して、「会計参与を置いたらどうですか」と言ってくるケースが今後多くなると思われます。
また、会計参与を置けば、金利などの融資条件を優遇するというケースも考えられます。金融機関から見れば、会計参与が関与する会社であれば、計算書類の信頼性がより高まると考えられるためです。
新会社法では、取締役や監査役のような機関をどう設置するかといった、会社の自由度がかなり増しました。この中で会計参与は、会社がどのような機関設置をしたとしても、定款で定めることで任意に設置できます。ここで、会計参与の必要性が高いのは、大企業ではなく、中小企業であると考えられます。
会計参与の資格は、公認会計士もしくは監査法人または税理士もしくは税理士法人という会計のプロに限られます。監査法人または税理士法人が選任された場合には、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選任し、この者を会社に通知しなければなりません。
また、次に掲げる者は、会計参与となることができません。
なお、会計参与は、顧問税理士などとの兼任が認められます。この件については、貴社もー度顧問税理士に相談してみてはいかがでしょう。
会計参与は、株主総会で選任され、解任も株主総会で行われます。
会計参与の任期は、取締役と同じく原則2年ですが、定款または株主総会の決議により、その任期を短縮できます。また、公開会社でない株式会社は、定款によって、その任期を10年まで延ばすことができます。
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