企業ごとに格差が広がるコンタクトセンターの現状コンタクトセンターが企業の顔になる(1/4 ページ)

ネット購買の増加などによりコンタクトセンターの重要性が増す中、ここでも企業ごとに「勝ち組」と「負け組」というように、2局化が進んでいる。

» 2006年02月06日 08時51分 公開
[上村陽子,ITmedia]

 オンラインムック「コンタクトセンターが企業の顔になる」

上村陽子(ITRアナリスト)

 第2回は、国内コンタクトセンターの平均的な姿を確認しながら、コンタクトセンターが直面する課題と今後の方向性について考えてみたい。

国内コンタクトセンターの実態

 コンタクトセンターというと、ヘッドフォンを付けた制服の女性オペレーターが数百名並ぶ、テレビコマーシャルで流れるような映像を思い浮かべるかもしれない。しかし、国内のコンタクトセンターの過半数は50席以下という調査結果が、「コンタクトセンター白書2005」(月間コンピュータテレフォニー)で報告されている。

 図1に示すように、最も多いのが10〜30席未満、500席以上は全体の5%という状況だ。某大手企業のコンタクトセンターを訪問した際、そこも一般的なオフィスに普通に並べられたデスクのなかの10席程度をコンタクトセンターにしており、制服ではなく普通の服を着たオペレーターの女性が次々に掛かる電話の対応をしていた。

 同社では、このような設備を全国の複数拠点に持っているという。効率化を目指して複数のコンタクトセンターを統合化するという事例が最近増えてはいるが、市場全体を見渡すと、中小規模のコンタクトセンターの方が多数派のようだ。

図1.コンタクトセンターの座席規模推移(2002年:n=216、2003年:n=215、2004年:n=219)<出典:コンタクトセンター白書2005>

クオリティの維持

 コンタクトセンターの規模にかかわらず、運営者に求められているのは、コンタクトセンターのクオリティの維持、向上である。ではクオリティとはどのような指標で測られるのだろうか。

 一般的には、放棄呼率(掛かってきた電話にもれなく対応できたか)、応答時間(短時間で顧客の要望に回答できたか)、一次対応完了率(たらい回しにしなかったか)、顧客満足度(実際の利用者がコンタクトセンターの対応に不満を持っていないか)、といった指標が用いられている。

 図2は、コンタクトセンター運営者が最も重視している品質基準であるが、何よりも放棄呼率を重視していることは一目瞭然である。これは、利用者への調査で「なかなか電話がつながらない」「電話の待ち時間(呼び出し時間)が長い」という不満の多さためだろう(図3)。

図2.コンタクトセンター運営において最も重要視する品質基準(n=178)<出典:コンタクトセンター白書2005>
図3.コンタクトセンターでのサービスに対する不満(複数回答あり n=300)<出典:コンタクトセンター白書2005>
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